奈良県産の「大和橘（やまとたちばな）」を病院食として提供 農学部×医学部奈良病院「食事満足度向上プログラム」
近畿大学医学部奈良病院（奈良県生駒市）は、平成29年（2017年）1月26日（木）、なら橘プロジェクト推進協議会および本学農学部と連携し、奈良県大和郡山市で収穫した、日本固有の柑橘類である「大和橘」を病院食として入院患者様に提供します。
本イベントは、病院食を通じて入院患者様に楽しい時間を提供することを目的に医学部奈良病院と農学部が取り組む「食事満足度向上プログラム」の一環として行われます。
【本件のポイント】
●医学部奈良病院、農学部、なら橘プロジェクト推進協議会が連携し、大和橘を使用して病院食の満足度向上に取り組む
●大和郡山市で栽培された大和橘をサバの塩焼きに添え、酸味と香りを楽しんでいただく
●農学部食品栄養学科では大和橘の生活習慣病予防効果等について研究を進めている
【本件の概要】
近畿大学農学部食品栄養学科では、医学部奈良病院と連携して平成28年（2016年）4月から、奈良病院に入院中の患者様を対象に「食事満足度向上プログラム」を実施し、献立の刷新など、病院食の満足度向上に取り組んでいます。
今回は、奈良県に古来から自生する日本固有の柑橘類「大和橘」の研究と普及を目指す「なら橘プロジェクト推進協議会」が育てた大和橘を農学部の学生が収穫し、病院食として医学部奈良病院の入院患者様にサバの塩焼きに添えて提供します。大和橘は他の柑橘類と比べて甘味が少なく、酸味が強いのが特徴で、爽やかな香りがサバの味わいを引き立てます。
また、農学部食品栄養学科は、なら橘プロジェクトと共に「近大たちばなプロジェクト」として、大和橘が持つ生活習慣病の発生を防ぐ一次予防効果等の研究を行っています。
■日 時：平成29年（2017年）１月26日（木） 18:00開始の夕食時に提供
■場 所：近畿大学医学部奈良病院
（奈良県生駒市乙田町1248-1、近鉄生駒線「東山駅」から徒歩約10分）
■メニュー：サバの塩焼きに大和橘を添えて提供
■対 象：入院患者様（一部、特別な食事制限が必要な患者の方を除く）
【大和橘について】
大和橘は現在広く日本で食用とされている柑橘類の原種であり、日本列島における柑橘類の唯一の固有種ですが、現在は太平洋岸の暖地にごくわずかに自生するのみで、絶滅危惧種に指定されています。
大和橘は、奈良には古くから縁のある果物ですが、原種であるが故に、果実が小さく酸味が強いため、食用としてはあまり活用されていません。古代では薬として、特に芳香を放つ花や葉が親しまれたことから、万葉集などに数多く詠われたり、文様や家紋のデザインにも多く用いられるなど、観賞用あるいは祭事用として活用されてきました。
【なら橘プロジェクトについて】
絶滅危惧種である大和橘を栽培・再生させることによって、大和橘の持っている食品としての魅力や文化的な「力」を活かして地域の文化、芸術、産業の発展につくし、奈良、ひいては日本を元気にする事を目的としています。収穫した大和橘を用いて商品を開発し、奈良ブランドとして全世界へと発信してゆきます。
現在はマーマレードや果皮を加えたお茶、和菓子などを製造・販売しています。
【近大たちばなプロジェクトについて】
他の柑橘類については、これまで様々な機能性成分が報告されていますが、大和橘についてはこれまでほとんど報告されていません。そこで近畿大学農学部の臨床栄養学研究室では、大和橘の食用としての健康効果にとどまらず、果皮や種等、加工の際に破棄される未利用資源についても調査し、大和橘の有効な活用方法について検討を開始するべく、なら橘プロジェクト推進協議会とともに、平成28年（2016年）7月に「近大たちばなプロジェクト」を立ち上げました。
【食事満足度向上プログラムについて】
近畿大学農学部食品栄養学科と近畿大学医学部奈良病院栄養部は、「食事満足度向上プログラム」として平成28年（2016年）4月から、病院食の満足度向上に向けた以下の連携企画を実施しています。
1.食事に関する嗜好調査実施
従来は、栄養部で年2～4回実施していた嗜好調査を学生と共同で実施。調査結果で得られた問題点を学生が分析する。
2.病棟内デイルーム掲載献立表の変更、季節献立のアピールメッセージ作成
予定献立をもとに、季節感やアピールポイントを栄養部から連絡を受け、学生がイラスト入りで入院患者の献立表を作成。
3.近大産農産物の提供及びアピールメッセージ作成
近畿大学農学部や附属農場などで栽培された安全・安心な農産物を病院食献立に取り入れ、そのメッセージカードを献立に添えて情報を提供する。
4.小児病棟入院患者とその家族を対象としたイベントを定期的に開催
