新型コロナウイルスの社会的影響について調査 夫婦関係への影響や、ワクチンへの不安と接種の関係などが明らかに

コロナ禍でのテレワークの増加と、夫婦関係の変化との関係性などについて調査
コロナ禍でのテレワークの増加と、夫婦関係の変化との関係性などについて調査

近畿大学総合社会学部(大阪府東大阪市)総合社会学科 社会・マスメディア専攻教授 辻 竜平は、「社会調査実習B」の授業において、令和2年度(2020年度)に引き続き、「新型コロナウイルスの社会的影響にかかわる調査 Part2」を実施し、その成果をまとめました。
本調査は、新型コロナウイルス感染症の拡大が人々の生活に及ぼす影響について調査する目的で、令和3年(2021年)11月下旬に実施しました。コロナ禍における夫婦間の関係の変化や、ワクチン接種に対する不安と接種行動との関係などを調査しました。

【本件のポイント】
●大学の授業において、新型コロナウイルス感染症の拡大が人々の生活に及ぼす影響について調査
●テレワークの増加と夫婦関係の変化との関係、ワクチン接種に対する不安の種類と接種行動との関係など、一般的な言説と異なる意外な結果が明らかに
●学生が調査・分析に参加し、パンデミックによって発生する社会的変化について学習

【調査概要】
調査期間 :令和3年(2021年)11月29日~12月3日
調査対象 :
インターネット調査会社であるクロス・マーケティング社に登録している調査モニターのうち、全国の15歳から74歳の男女 666人
対象の分類:
8大都市圏の都道府県(都市部)とそれ以外の県(地方部)の居住に分類。さらに、性別と7つの年齢層を設け、各層から人口比に従って抽出数を設定
調査項目 :
新型コロナウイルスへの感染状況(自分、家族・親戚、職場、友人・知人)、ワクチンの接種状況(自分、家族・親戚、職場、友人・知人)、コロナ禍でのテレワークの増減、夫婦関係の変化、新型コロナウイルス感染症に関する情報の入手先、感染予防対策、新型コロナウイルスへの不安、ワクチン接種に対する不安、政権担当者の新型コロナウイルス対策への評価など、全47問
調査結果 :以下をご覧ください

【調査結果の分析】
調査結果を受け、「テレワークの増加と夫婦関係の変化との関係」、「ワクチン接種に対する不安と接種行動との関係」などについてデータ分析を行った結果、以下のような新型コロナウイルスの社会的影響が明らかになりました。
・新型コロナウイルスの感染予防について、感染者数の多い都市部の方が地方部よりもさまざまな対策を行っているかを分析したが、差は見られなかった。(報告書第2章)
・コロナ禍では、テレワークの増加に伴って夫婦のコミュニケーションが増加し、これが夫婦間の関係を改善したという言説があるが、分析の結果、テレワークの増減は夫婦関係の質や満足感に変化を与えてはいなかった。(報告書第3章)
・友人・知人が多い人ほど新型コロナウイルスに感染したかを分析したところ、そのような事実は認められなかった。(報告書第4章)
・マスメディアから新型コロナウイルスに関わる情報を得る人ほど、感染することへの不安、感染すると避けられたりひどい扱いを受けるのではないかという不安、社会経済に関わる不安を感じやすいことがわかった。(報告書第5章)
・新型コロナウイルスの社会的不安や個人的不安を喚起する情報ほど、人はそれを他者に伝えたり、話題にしようとする傾向があることがわかった。(報告書第6章)
・楽観主義と悲観主義がワクチン接種に対する態度とどのような関係にあるかを分析したところ、楽観主義も悲観主義もその程度が高くなるほどワクチンを積極的に接種しようとし、また、副反応に対する不安や科学不信が強く、メディアからワクチンの危険が流布されていると考えていることがわかった。つまり、楽観主義と悲観主義は正反対の態度ではない。しかし、楽観主義と悲観主義の程度が高まっても、ワクチンを接種するかどうかの行動には違いをもたらさなかった。(報告書第7章)
・ワクチン接種に関わる態度のうち、安全性と副反応に関する不安は、ワクチン接種を抑制する効果があった。しかし、性別による違いは認められなかった。(報告書第8章)
・新型コロナウイルスの対策に当たった政権担当者と感染症対策専門家会議座長、感染症対策分科会会長について、5段階評価してもらったところ、測定した12人のうち「3(どちらともいえない)」以上の評価があったのは、菅政権下の河野太郎ワクチン接種推進担当大臣(3.17)と、感染症対策分科会の尾身茂会長(3.20)のみであった。(報告書付録2)

【授業概要】
授業名 :「社会調査実習B」
対象学部:総合社会学部 総合社会学科 社会・マスメディア系専攻
対象学年:3年生以上
履修人数:7人
概  要:アンケートを用いた量的調査の実習を行う授業です。問題の設定と仮説構築、調査票の作成、調査の実施、統計ツールを用いた分析、レポート作成までの一連の流れを実施しています。(全15回)

【関連リンク】
総合社会学部 社会・マスメディア系専攻 教授 辻 竜平(ツジ リュウヘイ)
https://www.kindai.ac.jp/meikan/2088-tsuji-ryuhei.html

総合社会学部
https://www.kindai.ac.jp/sociology/