イメージセンサ(1億枚/秒)による光の飛翔の撮影に世界で初めて成功

2018-03-16 15:00

近畿大学理工学部 教授 竹原 幸生らは世界で初めて、イメージセンサを用いて飛翔する光の連続撮影に成功しました。

【本件のポイント】
●飛翔する光を1億枚/秒の撮影速度で連続10枚撮影することに成功
●科学技術振興機構の「研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP)実用化挑戦タイプ」の支援を受けて高感度高速度カメラを開発
●自動運転のための距離センサや、蛍光の減衰特性を用いた細胞観察技術等のセンサ等の科学技術の発展への貢献が期待される

【本件の概要】
近畿大学理工学部は、科学技術振興機構のA-STEP事業の支援を受け、立命館大学、アストロデザイン株式会社と協力して、1億枚/秒の時間分解能(10ナノ秒)で連続10枚撮影できる超高速高感度カメラを開発しました。イメージセンサを使ったカメラとしては世界で初めて光の飛翔の連続撮影に成功し、この度、報道機関に向けて公開実験を行います。
このカメラは、裏面照射により超高速撮影に必要な高い感度と、60万画素という超高速カメラとしては高い空間分解能を実現しました。右上図は、10ナノ秒ごとに撮影された、飛翔する光の10枚の連続画像の内の3枚を示しています。
近畿大学は平成3年(1991年)に、4,500枚/秒のビデオカメラを、平成13年(2001年)には100万枚/秒のビデオカメラを開発するなど、ビデオカメラの撮影速度の世界記録を塗り替えてきました。光の飛翔の撮影は多くの科学者が興味を持ち、特殊技術による撮影例はありましたが、イメージセンサを用いたカメラで連続撮影された例はありませんでした。イメージセンサを用いたカメラは、他の撮影技術に比べて格段に利便性が高く、今後の科学技術の発展に貢献することが期待されます。

【光の飛翔の撮影】
今回の実験では、撮影性能を示すために光の飛翔を撮影例に選びました。光の飛翔の撮影は、特殊技術によるいくつかの撮影例がありましたが、これまでイメージセンサを用いた高速度カメラで撮影された例はありませんでした。

【科学技術振興機構 A-STEP事業とは】
大学・公的研究機関等で生まれた、国民経済上重要な科学技術に関する研究成果を基にした、実用化を目指す研究開発フェーズを対象とした技術移転支援プログラムです。
大学等の研究成果を企業の視点で掘り起こし、実用化の可能性を検証する研究開発の初期フェーズから、実用化に不可欠な中核的技術の構築を行う中期フェーズ、さらには製品化に向けた実証試験を行うための企業化開発を実施する後期フェーズまで、それぞれの研究開発フェーズの特性に応じた複数の支援タイプにより実施しています。

【関連リンク】
理工学部社会環境工学科 教授 竹原 幸生(タケハラ コウセイ)
http://www.kindai.ac.jp/meikan/284-takehara-kousei.html

鏡で反射する光(左下から入射)
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