SVPジャパン 企業がSDGsに取り組むべき重要性

目先の利益だけを追求するのは時代遅れ、今までの社会経済システムを見直す機会

 現在、SDGsは世界規模で取り組みが進み、日本でも政府を筆頭に、企業・自治体・学校・個人による意識変革・行動変容を促してきた。その一方で、新型コロナウイルス感染症の拡大により、SDGsはいくつかの項目で後退が見られ、その他にも達成状態に偏りや遅れがあると言われている。このような背景から、国連は2020年から「行動の10年」と定め、今後はさらに取り組みを拡大・加速するよう呼び掛けており、日本でもより一層の取り組みを進めなければならない。その上で企業としての役割に注目と期待が高まる。企業は、SDGsとどのように関わり、取り組みを進めていくべきなのだろうか。

■今までの社会経済システムを見直す機会

 18世紀後半以降、人類(また企業)は資源や化石燃料を消費して、経済活動を発展させてきた。大量生産・大量消費・大量廃棄を経済システムの基盤にして、人々はモノが手に入りやすくなったとされる。しかし、その反面、地球環境が汚染され、公害が起こり、人々にも影響するという悪循環に陥っていた。
 このような経済活動や自動車排気ガスなどにより、CO2の排出量は1750年の工業化以前の平均値と比べ、2021年までに49%増加(注1)している。さらに、 CO2の排出量と気温の関係は、ほぼ比例関係にあり、世界平均気温は工業化前と比べ2011年から2020年で1.09℃上昇(注2)している。今後、 CO2を含める温室効果ガスがさらに上昇し続けると、気温もさらに上昇すると予測され、気象対策をせず、このままの状態が続けば2100年までに気温が最大5.7℃高くなると予測(注3)されている。そうなれば、地球環境の破壊だけでなく、人類の存続まで危うくなってくるのだ。

 このように、以前の社会経済システムを未だに続けている企業は、当然ながら評価が落ちていくだろう。現在は、目先の利益だけを追求するのは時代遅れである。地球環境を守りながら、長期的なビジネスを成功させることが重要であり、地球環境問題や社会問題の取り組み、いわゆる「SDGs」の活動は絶対だ。

■消費者との関係及び、ビジネスの創出

 人々は「SDGs」という世界共通言語により、地球上の様々な問題を今まで以上に考え、より意識するようになった。そして近年消費者は、若者を筆頭にSDGsに配慮した商品やサービスを率先して選択するようにもなり、企業による取り組みが、消費者の購買行動の変化や意識啓発に大きく影響を与えているようだ。また、消費者もSDGsに対して意識が高くなったことから、企業は必然的にサステナブルなモノづくりをし続ける必要があるだろう。さらに、企業にとってはSDGsの対応がビジネスの取引条件で求められるようになる。小売店は、消費者が求める商品(SDGsに配慮)をメーカーに求め、メーカーは環境に配慮した原料を生産者に求める。流通経路に関わる他業界や関係者と連携をして、今までにない新しい価値をつくりだすことが重要なのである。しかしながら、SDGsを一過性の流行やボランティア、広報活動に留めていては、目標は達成できず、企業活動としても長続きしない。企業は、サステナビリティを戦略的に捉えた、長期的な経営方針を推進しなければならない。

■SDGsと 『CSR』 の関係性

 1990年以降、地球環境への取り組みは、企業にも求められるようになり、2000年以降は、利益だけを追求するのではなく、企業としてステークホルダーの利益に配慮しながら、社会的に責任を果たそうという考え方の「CSR」(Corporate Social Responsibility:企業が果たす社会的責任 )の動きが活発化していった。
CSRは、環境問題に取り組んだり、途上国の支援をする慈善活動などがあり、本業とはあまり関連性がなく、収益性もない。ボランティアの意味合いが強いCSRだが、社会・地域に社会的責任(社会貢献)を果たすことで、企業のイメージアップ、信頼づくりを行える。

 ここで、懸念することは、SDGsの取り組みをCSRの延長と捉えている企業がいることだ。CSRは、自社の利益創出を目的にしていないケースが多く、継続的な展開には支出・人出不足の問題に直面する。さらに注意したいのが、SDGsウォッシュだ。 SDGsに取り組んでいるように見せかけて、実際は伴っていないことを言う。世間的必要性に迫られたとしても、SDGsウォッシュを施した場合のリスクと損失は多大なるものだろう。企業内で「SDGs」及び「CSR」の活動意義を明確にし、社員の理解を深めないと、結果的に、SDGsの目標達成どころか、企業のイメージダウン・存続まで危うくなるのだ。

■戦略的な 『CSV』の時代へ

 これからは「CSV」(Creating Shared Value:共通価値の創造)の考え方にもっと注目していただきたい。CSVは、2011年にハーバード大学のマイケル・ポーター氏が提唱をして注目を浴びるようになった。「CSR」と異なり、「CSV」は、自社の強みを生かし、本業を通して社会問題に取り組み、その上で利益を出して社会と経済の両側面の価値を創造していく経営手法のことだ。言い換えれば、企業が本業の傍ら社会貢献をするのではなく、企業と社会がWin-winの関係性にあり、相乗効果によって価値を創造することだ。これこそが、SDGsの活動にふさわしく、また企業としても持続可能な経営ができ、新しいビジネスの開拓にもなり得る。マイケル・ポーター氏は、CSV実現のために、①自社サービス・製品の見直し ②バリューチェーンの改善③業界団体や大学、行政などと産業クラスターを起こすこと、以上3つの方法を挙げている。

■『ESG』について

 つづいて、SDGsやCSVと同じぐらい耳にされたことがあるだろう「ESG」について言及する。Environment Social Governance(環境・社会・企業統治)の頭文字をとってESGと言う。企業が利益だけを追求する時代が終わったと言われるように、売上などの財務状況だけを見て投資先を選ぶ時代でもなくなった。『環境・社会・企業統治』の3つの観点から企業を分析し投資をするのが「ESG投資」で、ESGに配慮して経営することを「ESG経営」と言う。SDGsの取り組みは、ESGの特に「E:環境」と「S:社会」を配慮することにも繋がるため、企業は、投資家を配慮してESG経営を目指す上でも、SDGsの活動は欠かせない。

参考:(注1)二酸化炭素濃度の経年変化、国土交通省 気象庁(2022年3月20日)
https://www.data.jma.go.jp/ghg/kanshi/ghgp/co2_trend.html
(注2・3)WG1 第1作業部会(自然科学的根拠)、全国地球温暖化防止活動推進センターウェブサイト(2021年8月9日)
https://www.jccca.org/global-warming/trend-world/ipcc6-wg1

■SDGsを新たなビジネスチャンスに/市場規模は最大800兆円(注4)

 前頁で記述した通り、SDGsをCSRマターではなく、CSVとして捉えると自社あるいは各事業部の新たなビジネスチャンスにつながる。0からビジネスを創出しなくても、17項目の目標やターゲットを読み取ると、既存ビジネスを拡大することでSDGsに貢献できるのか、それとも各項目の市場規模を考慮して、既存ビジネスと別のキーワードを掛けた新たな事業を展開すべきなのかが見えてくるはずだ。世界最大規模のビジネスプロフェッショナルネットワークの一員であるデロイトトーマツ グループが、SDGsビジネスの市場規模を試算している。それによると、市場規模は小さいもので70兆円(注5)、大きなもので800兆円程度に上ることが明らかになった。下図はSDGs各目標の市場規模試算結果(2017年)である。もしかすると、既にSDGsに繋がる商品・サービスを展開している場合もあるだろう。今後SDGsの取り組みをするにあたって、是非参考にしていただきたい。

※★…市場規模が300兆円超
※SDGs17目標については、こちらを参照➡SVPインサイト Vol.11 のリンク
参考:(注4・5)・(上記表)「SDGsビジネス」の市場規模、図4: SDGsは大きなビジネスチャンスをもたらす市場〈SDGsの各目標の市場規試算
結果(2017)〉、「デロイト トーマツ グループのHPを基に、SVPジャパンにて表を制作」
https://www2.deloitte.com/jp/ja/pages/about-deloitte/articles/dtc/sdgs-market-size.html

 ご覧の通り、目標7(エネルギーをみんなにそしてクリーンに)に関連する市場規模は、800兆円を超える。本レポートの冒頭でも記載したように、気象対策や地球環境問題に関わる取り組みは、今特に注目すべきであり、市場規模が大きいことからして、できれば事業展開できるのが望ましい。
 次回のSVPインサイトでは、市場規模が最も大きい目標7に関連する『カーボンニュートラル』について考察する。

■ 終わりに

 SVPジャパンでは、会員様向けサービスを通じて、日本国内のみならず、世界各国の経済指標や市場データ、事業環境や企業戦略、研究開発動向などをカスタマイズされた報告書にてご提供させていただいております。
SDGsに関する情報収集例もございます。是非ご活用ください。

■SVPジャパンについて

「成功に導くビジネスの知を、もっと身近に」をミッションとした、会員制ビジネス情報提供サービスプロバイダー。
会員企業には、ビジネス公開情報に基づくクイックリサーチ、カスタムメイド型プロジェクトリサーチを提供。日本は1974年に創業し、現在世界40カ国に渡るネットワークのメンバーとして、大手企業を中心とした会員企業の意思決定を情報力でサポートしています。
 2021年には事業継承のため、経営体制を一新し、ガバナンスの強化、情報提供サービスの拡大、そして進化することを目指し、第二の創業をスタートしています。

《会社概要》
社名: 株式会社SVPジャパン
代表取締役: 橋本 雅
所在地: 東京都中央区日本橋蛎殻町1-38-9 宮前ビル2F
設立年月日: 1974年7月1日
事業内容: 会員制のビジネス情報提供サービス
URL: https://www.svpjapan.com/

《問い合わせ先》
株式会社SVPジャパン デジタルマーケティング部
mail : info@svpjapan.com