「なら近大農法」で栽培したミニトマトを初出荷 奈良県との連携事業「農の入口」モデル事業の一環として

近畿大学農学部(奈良県奈良市)は、平成30年(2018年)7月11日(水)、学内のICT(情報通信技術)設置温室で栽培したミニトマトを初収穫・出荷します。
本件は、奈良県と覚書を取り交わした「農の入口」モデル事業の一環として行われ、市場評価など販売を通して得られたデータをより良い栽培法の確立に役立てます。

【本件のポイント】
●ICTの利用により自動化された温室で栽培したミニトマトを初収穫、初出荷
●ミニトマトを出荷し、市場の評価を調査・解析することで農法の向上をめざす
●新規就農促進のため、栽培から販売まで最先端農業一連の過程を学ぶ場を提供

【本件の概要】
近畿大学農学部は、平成29年(2017年)9月に、奈良県と「農の入口」モデル事業に関する覚書を取り交わしました。本事業では、農業参入に関心のある学生に円滑な就農を支援するモデルづくりを行うため、近隣農地や農学部内に実践圃場を設置し、ユニバーサル農法(ローテク)とICT農法(ハイテク)を利用した「なら近大農法」の確立をめざしています。今年4月には、近畿大学農学部内にICT農法を利用した実践圃場が完成し、内覧会を実施しました。
その実践圃場にある、ICTの利用で給水や施肥などの作業を自動化した温室では、農学部農業生産科学科教授の野々村照雄が中心となってミニトマトの栽培研究を行っています。そのミニトマトが収穫時期を向かえたため、農学部の学生が収穫し、約10kgを三井物産アグロビジネス株式会社が出荷します。今後、出荷したミニトマトの市場での評価を調査し、さらに高品質なトマト栽培が可能となるよう、「なら近大農法」の向上に取り組みます。

■初収穫日:平成30年(2018年)7月11日(水)10:30~12:00
■場  所:近畿大学奈良キャンパスものづくり村 ICT 設置温室
      (奈良県奈良市中町3327-204、近鉄奈良線「富雄駅」からバス約10分)
■出荷予定:ミニトマト(品種名:ソラリーノ)約10kg
■出荷先 :イズミヤ スーパーセンター広陵店(奈良県北葛城郡広陵町)

【「なら近大農法」について】
「ユニバーサル農法(ローテク)」と「ICT農法(ハイテク)」を組み合わせることによって、農家の作業負担の軽減と所得の安定化を図ります。また、若者をはじめとした農業初心者だけでなく、女性や高齢者、障がい者等に対しても農業参入を容易にすることをめざします。

■ユニバーサル農法(ローテク)による作業負担の軽減と栽培の安定化
土の代わりに軽量な古着等の繊維で作ったポリエステル媒地を利用することで、作業負担を軽減します。また、ポリエステル媒地は一般的な土壌と異なり、長期間において物理性や化学性が変化しないので、栽培法のマニュアル化による安定生産が可能となります。

■ICT農法(ハイテク)による農業の自動化と収益確保
農業は個人の経験や勘に頼ることが多く、所得確保の不安定さが問題視されていますが、農作物の栽培に必要な温度調整や養分供給など管理機能にICTを導入することによって農作業の自動化を実現し、農業初心者でも栽培管理が容易となります。栽培期間中、農業従事者は栽培管理、肥培管理および病害虫管理を行います。
装置本体は、土壌センサーや日照センサーと連動しており、その情報をコンピュータ解析し、作物に水分と液肥を自動的に供給します。これらの情報はクラウドに蓄積され、パソコンやスマートフォンなどで遠隔地でもデータを確認することができるようになります。一方、ハウス側窓の自動巻上げ機は温度センサーと連動して、ハウス内の温度をほぼ一定に保つように自動的に開閉が行われます。このような完全自動化肥培管理システムの導入により、農作業の時間を大幅に削減、水や液肥の低減が可能となり、収穫量の増加と品質の安定化へと繋がることが期待されます。このICT農法と高収益作物の導入により安定した所得確保を実現します。
今後、農作物については高付加価値品種を開発し、「なら近大農法(ICT農法)」に導入していくことをめざします。また、収穫物については食感、匂いなどの嗜好性の調査や機能性成分の分析などを行います。さらに、咀嚼力の低下した高齢者や生食の苦手な人が手軽に栄養摂取できる加工品(シャーベット、ジェラート等)へ転換することで、6次産業化をめざします。

【関連リンク】
農学部農業生産科学科 教授 野々村 照雄(ノノムラ テルオ)
https://www.kindai.ac.jp/meikan/162-nonomura-teruo.html

ICTを設置した温室
ICTを設置した温室

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