奈良県指導農業士会研修会を開催 近畿大学農学部の研究・「農の入口」モデル事業実践圃場を見学
近畿大学農学部(奈良県奈良市)にて、平成30年(2018年)11月16日(金)、奈良県指導農業士会・OB会合同研修会が開催されます。研修会では、近畿大学奈良キャンパスの研究内容の紹介や奈良県と共同で実施している「農の入口」モデル事業である「なら近大農法」実践圃場の見学会が行われます。
【本件のポイント】
●奈良県指導農業士会と同OB会の合同研修会を近大奈良キャンパスにて開催
●近大農学部の研究施設や最新の研究成果について紹介
●奈良県との共同事業「農の入口」モデル事業実践圃場で最新の理論に基づく施設を見学
【本件の概要】
優れた農業経営を行いつつ、新規就農者等の育成に指導的役割を果たしている農業者が各都道府県の知事から指導農業士として認定されており、奈良県では任命された指導農業士により指導農業士会が組織され、地域農業の振興に関する活動を県内各地で行っている他、指導農業士の知識向上と交流を目的として研修会が開催されています。今年度は近畿大学奈良キャンパスを会場に、奈良県指導農業士会およびOB 会の合同開催となります。研修会では近畿大学農学部でおこなわれている研究についての紹介や、平成29年(2017年)9月に、奈良県と近畿大学がモデル事業に関する覚書を取り交わし、現在実施している「農の入口」モデル事業のICT(情報通信技術)設置温室を始めとした「なら近大農法」実践圃場で農学部の学生も参加した見学会が行われます。
■日 時:平成30年(2018年)11月16日(金)14:30~16:30
■場 所:近畿大学奈良キャンパス
(奈良県奈良市中町3327-204、近鉄奈良線「富雄駅」からバス約10分)
■事務局:奈良県農林部担い手・農地マネジメント課担い手育成係
【「なら近大農法」について】
「ユニバーサル農法(ローテク)」と「ICT 農法(ハイテク)」を組み合わせることによって、農家の作業負担の軽減と所得の安定化を図ります。また、若者をはじめとした農業初心者だけでなく、女性や高齢者、障がい者等に対しても農業参入を容易にすることをめざします。
ユニバーサル農法(ローテク)による作業負担の軽減と栽培の安定化
土の代わりに軽量な古着等の繊維で作ったポリエステル媒地を利用することで、作業負担を軽減します。また、ポリエステル媒地は一般的な土壌と異なり、長期間において物理性や化学性が変化しないので、栽培法のマニュアル化による安定生産が可能となります。
ICT 農法(ハイテク)による農業の自動化と収益確保
農業は個人の経験や勘に頼ることが多く、所得確保の不安定さが問題視されていますが、農作物の栽培に必要な温度調整や養分供給など管理機能にICTを導入することによって農作業の自動化を実現し、農業初心者でも栽培管理が容易となります。栽培期間中、農業従事者は栽培管理、肥培管理および病害虫管理を行います。
装置本体は、土壌センサーと日照センサーと連動しており、その情報をコンピューター解析し、作物に水分と液肥を自動的に供給します。これらの情報はクラウドに蓄積され、パソコンやスマートフォンなどで遠隔地でもデータを確認することができるようになります。一方、ハウス側窓の自動巻上げ機は温度センサーと連動して、ハウス内の温度をほぼ一定に保つため、自動的に開閉が行われます。このような完全自動化肥培管理システムの導入により、農作業の時間を大幅に削減、水や液肥の低減が可能となり、収穫量の増加と品質の安定化へと繋がることが期待されます。このICT 農法と高収益作物の導入により安定した所得確保を実現します。
今後、農作物については高付加価値品種を開発し、「なら近大農法(ICT 農法)」に導入していくことをめざします。また、収穫物については食感、匂いなどの嗜好性の調査や機能性成分の分析などを行います。さらに、咀嚼力の低下した高齢者や生食の苦手な人が手軽に栄養摂取できる加工品(シャーベット、ジェラート等)へ転換することで、6次産業化をめざします。