天然マグロを未来に残せ!宇宙からの生態調査 第5弾クラウドファンディング 「宇宙マグロ」プロジェクト
近畿大学(大阪府東大阪市)は、日本最大級のクラウドファンディングを運営する株式会社CAMPFIRE(東京都渋谷区)と提携しており、平成30年(2018年)4月18日(水)に、本学として第5弾のプロジェクトを開始します。理工学部電気電子工学科教授 前田佳伸(まえだ よしのぶ)と農学部水産学科准教授 光永靖(みつなが やすし)の各研究室の学生が、クロマグロ等の水棲生物の生態調査を目的に、人工衛星を使った新たな調査方法の開発を目指し、クラウドファンディングを通じて資金を募ります。
【本件のポイント】
●クロマグロなどの資源保護のため、衛星を使った新たな生態調査方法の開発を目指す
●理工学部と農学部が共同で取り組む学部横断型プロジェクト
●小型人工衛星「宇宙マグロ」を製作し、平成31年度(2019年度)に打ち上げを予定
【本件の概要】
絶滅危惧種であるクロマグロを次世代に残すための資源保護策が求められている現在、回遊ルートや産卵場所の特定など、詳細な生態調査が必要です。しかし、水棲生物の研究において現在主流の調査方法「データ記録タグ」を用いた手法は、魚の腹を切って体内に入れ込む、あるいは魚の背骨にワイヤーで括り付ける必要があり、遊泳時に大変な抵抗になるうえ、取り付け時の傷から死に至ることがあります。
そこで、「データ記録タグ」の代わりに反射材を水棲生物に取り付け、人工衛星から照射したレーザーの反射光で水中の生物の動きを把握できる調査方法を、本学理工学部と農学部の学生が、共同で考案しました。この方法では、反射材に薄いシート状の軽い素材を用いているため生物への負担を少なく済ます事もでき、人工衛星を通じた長期間でのリアルタイムな追跡記録も行うことが出来ます。
■プロジェクト名:「宇宙マグロプロジェクト」
■応 募 方 法:URL:http://camp-fire.jp/projects/view/36679?token=3tlseafa
(URLは4月18日6:00公開)
■目 標 金 額:1,900,000円
■募 集 期 間:平成30年(2018年)4月18日(水)~5月31日(木)
【本件の研究背景】
近畿大学は世界で初めてクロマグロの完全養殖に平成14年(2002年)成功しました。本学ではクロマグロを始めとした多様な魚の養殖を行っていますが、世界的な人口増加の中、今後の需要を満たすには養殖と天然の双方の資源管理を行っていくことが重要です。天然資源保護のためには、水棲生物の詳細な生態調査が重要であり、生態調査を行うことで、回遊ルートの特定、資源構造の把握が可能になります。
しかし、現在水棲生物の研究で主流の調査方法「データ記録タグ」による記録方法には3つの問題点があります。1つ目は生物への過負担、2つ目はバッテリー駆動に伴うタグの記録時間の制限、そして3つ目として、データを読み込むにはタグを付けた生物を再度捕獲する必要があるため、リアルタイムでデータを確認できないことが挙げられます。
本プロジェクトでは、従来の生態調査で用いられていたタグの代わりに、光を反射する反射材を水棲生物に取り付け、反射材にレーザーを照射して反射した光を測定することで水中にいる水棲生物を追跡する、新たな調査方法の確立を目指しています。
地上500mの航空機から反射材をつけた魚にレーザーを照射するリアルタイム観測・調査は既に成功しており、今後は、まず地上から人工衛星に対してレーザーを照射することで、地上300kmの人工衛星からのレーザー観測が可能か実証実験を行い、最終目標である宇宙からレーザーを照射し、広範囲に追跡できる新たな生態調査方法の開発を目指します。
今回のクラウドファンディングでは、人工衛星の製作費用を募ります。まずは反射材を取り付けた人工衛星に向けて地上からレーザーを照射し、反射光測定の実証から始めます。
【関連リンク】
理工学部電気電子工学科 教授 前田 佳伸(マエダ ヨシノブ)
http://www.kindai.ac.jp/meikan/444-maeda-yoshinobu.html
農学部水産学科 准教授 光永 靖(ミツナガ ヤスシ)
http://www.kindai.ac.jp/meikan/185-mitsunaga-yasushi.html