日本原子力学会関西支部賞(功績賞)を受賞 近畿大学原子力研究所による東日本大震災復興支援活動
近畿大学原子力研究所(大阪府東大阪市)が、「第13回(平成27年度)日本原子力学会関西支部※賞(功績賞)」を受賞しました。平成28年(2016年)6月14日(火)に開催された日本原子力学会関西支部大会において、授賞式が行われました。
※「関西地区において原子力の研究を促進し、原子力に関する知識を普及すること」を目的に、昭和34年(1959年)4月に発足した、一般社団法人日本原子力学会内の組織
【本件のポイント】
●原発事故の影響を受けた福島県川俣町に対する5年間の復興支援が評価
●原子力研究所を中心に「“オール近大”川俣町復興支援プロジェクト」として活動
●総合大学の強みを生かした地方創生活動
【本件の概要】
東日本大震災時に発生した原発事故の影響を受けた福島県川俣町に対する5年間の復興支援活動が高く評価され、本学原子力研究所が「日本原子力学会関西支部賞(功績賞)」を受賞しました。(活動の詳細は次頁参照)
【日本原子力学会関西支部賞(功績賞)】
「日本原子力学会関西支部賞(功績賞)」は、同支部管内において幅広く原子力、放射線等の広報活動又は学術・技術支援活動を展開し、顕著な貢献のあった個人又は団体を表彰するものです。原子力研究所は平成17年度(2005年度)にも「近畿大学原子炉体験学習の長期実践と原子力普及活動への貢献」として同賞を受賞しており、今回が2回目となります。
【伊藤哲夫(近畿大学原子力研究所 所長)コメント】
「震災から5年が経過した今、これまでの活動が評価されたことは大変有り難く、励みになります。今後も被災地の復興支援、地方創生活動を継続して参ります」
【“オール近大”川俣町復興支援プロジェクト 活動内容】
近畿大学が14学部48学科を擁する総合大学としての研究力を生かし、総力を挙げて福島県川俣町(東日本大震災に伴う原発事故により現在も一部地域が居住制限区域と避難指示解除準備区域に指定)の早期復興を支援するために立ち上げた学部横断プロジェクトです。
地場農産業の活性化や教育・文化の育成などの「復興支援」と、除染研究や健康管理など被災からの「再生支援」の両面から、町の方の意見を取り入れながらサポートしています。
■除染研究:バイオコークス技術による減容化
東日本大震災被災地でひっ迫している除染廃棄物仮置場や仮置場から中間貯蔵施設への輸送問題について、近畿大学が開発したバイオコークス技術によって解決する方法を提案。環境省の事業として、本技術の実証実験を川俣町で実施しました。
■心身ケア:ガラスバッジによる放射線量測定
原子力発電所の事故による放射線の不安から子どもたちの安全安心を守るため、町内の幼稚園児、保育園児、小学生、中学生全員を対象に、個人の放射線量を測定する積算線量計(ガラスバッジ)を配布しました。3カ月ごとに子どもたち一人ひとりが日常生活で受けた放射線量を測定し、結果を保護者へお知らせするとともに、放射線健康不安に関する相談会を実施してきました。
■産業振興:ビニルハウスで特産品栽培
川俣町小島地区にビニルハウスを設置して風評被害を払拭し、町の特産品になり得る農作物の試験栽培を実施。高糖度のトマト「ロッソ・ナポリタン」や、空中栽培法によるサツマイモ、ハーブ類などを生産。最近ではポリエステル培地を使ったアンスリウムの栽培マニュアルを提供。本学教員による技術協力のもと、地元農家による栽培計画を進めています。
■その他の活動(一部抜粋)
・放射線健康不安に関する相談会実施
・町内の小学校・幼稚園において、野外でのサツマイモ空中栽培実習
・山木屋地区避難先住宅へ農作物の空中栽培棚贈呈
・町内の小学校・幼稚園・保育園の生徒、児童と共に、復興支援モニュメント作成
・特産品のパッケージデザイン提案
・「川俣シャモまつり」において、ビニルハウスで育てた野菜類と川俣シャモを使用したコラボメニュー販売
・汚染水から放射性物質を取り除く技術の開発
・藻類を使った土壌から放射性セシウムを除去技術の研究
【関連リンク】
近畿大学 原子力研究所 所長・教授 伊藤 哲夫
http://www.kindai.ac.jp/meikan/254-itou-tetsuo.html
“オール近大”川俣町復興支援プロジェクト
http://www.kindai.ac.jp/rd/social-activity/earthquake-east-japan/all-kindai.html