農学部環境管理学科の卒業生が「日本森林技術協会理事長賞」を受賞 スマート林業や森林・林業分野のグリーン成長の発展に貢献
近畿大学農学部(奈良県奈良市)環境管理学科を令和5年(2023年)3月に卒業した梅見 弘太郎さん(論文執筆当時4年生、現 林野庁勤務)が、一般社団法人日本森林技術協会が主催する第33回学生森林技術研究論文コンテストにおいて、「日本森林技術協会理事長賞」を受賞しました。
【本件のポイント】
●農学部環境管理学科の卒業生が第33回学生森林技術研究論文コンテストで「日本森林技術協会理事長賞」を受賞
●ドローンや航空機レーザによる樹木の平均直径の推定に用いるモデル(数式)を開発
●スマート林業や森林・林業分野のグリーン成長※ のさらなる発展に貢献する研究成果
※ 経済的な成長を実現しながら私たちの暮らしを支えている自然資源と自然環境の恵みを受け続けること
【本件の内容】
近畿大学農学部環境管理学科の卒業生である梅見 弘太郎さんが在学時に執筆した卒業論文「平均樹高と林分密度による平均直径の推定-ドローン・航空機レーザへの応用-」が、第33回学生森林技術研究論文コンテストにおいて、「日本森林技術協会理事長賞」を受賞しました。
学生森林技術研究論文コンテストは、一般社団法人日本森林技術協会が主催する森林科学関係の卒業論文コンテストで、森林技術の研究の推進を図るとともに、若い森林技術者の育成を目的に実施されています。大学に在学する学部生を対象に、森林・林業に関する研究論文を募集し、優秀者を表彰しています。
【コンテスト概要】
名称 :第33回学生森林技術研究論文コンテスト
主催 :一般社団法人日本森林技術協会
後援 :林野庁、一般社団法人日本森林学会
募集期間:令和4年(2022年)12月15日~令和5年(2023年)3月15日
対象 :大学に在学する学部生
【研究概要】
森林を適正に管理するには、森林を調査することで、その資源量を把握する必要があります。森林の調査には時間と労力を要するため、近年、ドローンや航空機レーザを用いた上空からの調査への関心が高まっています。しかし、上空からの調査では、樹高(木の高さ)や立木本数は計測できるものの、胸高直径(胸の高さでの樹幹の直径)は直接には計測できません。こうした背景を受け、上空から直接計測できた樹高や樹冠直径(枝葉の広がり)から胸高直径を推定するためのモデル(数式)が、世界中の研究者によって開発されています。
これに対し、今回受賞した梅見さんの卒業論文では、いくつかの生態学的な法則を仮定として、平均樹高と立木本数のみの情報から、従来のモデルよりも簡便に平均直径を推定するモデルを理論的に誘導しました。そして、東北から九州にいたるさまざまな地域で収集されたスギとヒノキのデータを用いて、モデルの妥当性を検証しました。その結果、このモデルによって、平均直径を実用に耐えうる誤差で推定できることがわかりました。
この成果により、ドローンや航空機レーザによって平均樹高と立木本数を正しく計測できれば、それらの値を誘導したモデルに代入することで、ただちに平均胸高直径を推定することが可能となります。このモデルは、現行のドローンや航空機レーザによる森林調査に直ちに応用できる実用性の高い内容であり、スマート林業や森林・林業分野のグリーン成長に貢献できます。
なお今回の受賞は、このような実用性の高さだけでなく、先行研究における問題の根幹を見抜く鋭い洞察力や、モデルの誘導における数式の展開の鮮やかさといった高度な学術性が評価されたことによるものです。
【受賞者コメント】
近畿大学農学部環境管理学科 令和5年(2023年)3月卒業
林野庁職員 梅見 弘太郎さん
学生生活の集大成ともいえる卒業研究を高く評価していただいたことを大変うれしく感じるとともに、近畿大学附属高等学校から近畿大学に内部進学して本当に良かったと思っています。本研究を行うにあたり丁寧なご指導をいただいた研究室の先生方や大学院の先輩方には、心よりお礼を申し上げます。大学卒業後は林野庁に入庁し、現在は九州森林管理局に勤務しています。林野庁においても、近畿大学農学部で学んだことや卒業研究で取り組んだことを土台として、スマート林業に関する業務に取り組み、森林・林業分野のグリーン成長に貢献していきたいと考えています。
【関連リンク】
農学部
https://www.kindai.ac.jp/agriculture/