おうちでできるスマホ動画の作り方。 「今、見せたいものを、すぐ動画にして発信するテクニック!」(後)
今すぐ動画を作るための5つのステップ
ゴールデンウイークを迎えましたが、今年は特別。依然、厳しい社会情勢が続いています。4都府県には緊急事態宣言が発出されました。とはいえ、ビジネスや学校生活を止めるわけにはいきませんね。
おうち時間を利用して、GWに動画作り。今、できることからトライしてみませんか。
オンライン化やリモートワークが進むなか、サービスや製品・商品などの動画での発信に関心が集まっています。一方で、スマホや無料アプリなど、手軽に動画を作成できる環境が整っているものの自ら制作して発信するというところまでは、まだまだ手が回らないという人も多いようです。
そんななか、iPhone片手に、0円アプリと100均の機材で、簡単にPR動画を作ってSNSに公開し、行政情報や授業のようす、お店や自社製品を動画で発信できる本として、『iPhoneで作ろう ビジネス動画の教科書』がマスコミなどで多く取り上げられています。
そこで著者のオリカワシュウイチさんに、「今、見せたいものを、すぐ動画にして発信する方法」について聞きました。
前半は、「できることからトライ!5つのアドバイス」です。
(聞き手 ペンコム 増田ゆきみ)
【ステップ1】 「いつ」「どこで」公開するのかを決める。そうすれば、スケジュールと動画の長さが決まる
─ 前編では、「できることからトライ!5つのポイント」についてうかがいました。後半ではさらに具体的に教えていただけますでしょうか。
[オリカワ]
今すぐ動画を作るための方法を、5つのステップで紹介していきますね。
ステップ1は、「いつ」「どこで」公開するのかを決めるということです。
すべてはここからの逆算で考えます。
→「いつ公開するのか」から、スケジュールが決まります。
→「どこで公開するのか」から、動画の長さが見えてきます。
例えば、「商品発売日の1週間前に公開したい」ということならば、それに合わせて、
→編集に10日かかる
→撮影は「この日」までに終えなければいけない
→だとしたら何を撮るか、誰に出てもらうかは、「この日」までに決めなければいけない
と、スケジュールが決まり、全体像が見えてきます。
次に、「どこで公開するのか」については、例えば、「SNSで発信したい」と考えるなら、動画の長さは数十秒から長くても1分以内だ、と決まります。
動画を作るとき、みなさんは企画書を作ると思います。
その1番上には、「いつ」「どこで」公開するのかをまず、書いてみてください。それだけでも、はじめの1ステップが踏み出せます。
動画を作るとき、まずやりたいことや盛り込みたいことを書き出して…と企画を始めると、どうしても「足し算思考」になって、動画が長くなってしまいます。
そして撮影しなければいけないものも増えて、どんどん動画制作のハードルが上がっていってしまいます。結果として手に負えなくなっていき、いつまでたっても1本目の動画を作ることができない。だらだらと構想期間だけが長くなり、動画公開の旬を逃してしまう。
そういう例を、これまで私も多く見てきました。
一般的に、「まずやりたいことや盛り込みたいことを書き出して」という企画の進め方は、間違いではありません。
しかし、まだ動画を作り慣れてない段階では、こういうやり方は避けた方がいいだろう、というのが、これまでの指導経験で培ってきたことです。
【ステップ2】 「誰に何を伝えたいか」を考え、原稿は「話し言葉」で書いてみる
─ 続いて、何をしたらいいでしょうか。
[オリカワ]次は、「誰に何を伝えたいか」を考えます。
これは、すでに商品開発などの段階で考えているかと思います。スラスラ出てくるのではないでしょうか。ただどちらかというと、伝えたいことがたくさんあって絞れない、ということの方に悩むかもしれません。
例えば、「誰に」を考えたとき、家族でも使えるし(ファミリー向け)、オフィスでも使えるし(ビジネスマン向け)、車の中でも使える(高齢者向け)…なんていう場合もあるでしょう。
その場合は、それぞれのシチュエーション別に複数の動画を作ればいいのです。
1つの動画で全てを伝える、なんて考える必要はありません。
「何を伝えたいか」は、文字にできても、それを具体的にどのように撮影したらいいのか分かりませんね。その場合は、「話し言葉で原稿を書いてみる」ことをオススメします。
例えば、「○○をオフィスで使う方法をご紹介します。机の上の電話機の横に△cmくらいのスペースを用意してください…」というように話し言葉で原稿を書いてみます。次にそれをゆっくり読んで希望する時間内(=動画の長さ)におさまるように、原稿を加減して調整します。
その上で、言葉に当てはまる映像を撮影していくのです。
初めのうちは、この進め方がやりやすいでしょう。
【ステップ3】 使う機材はスマホ1択で。ただしスマホの特性に注意して撮影する
─ 撮り始めたとして、注意点はありますか?
[オリカワ]最初のうちは、使う機材はスマホ1択です。スマホで動画を作るのには、2つの大きなメリットがあります。
1つは、必要十分なカメラ機能を備えていること。
もう1つは、スマホ1台で、撮影だけではなく、編集、公開まで行えるということ、です。
撮影するときはスマホの特性に注意して、次の3つを常に意識しましょう。
(1)スマホを安定させて撮る
画面がぐらぐらと動かないように安定して撮るためには、できるだけスマホを三脚につけて撮ることをオススメします。その際、スマホと三脚をつなぐスマホホルダーが必要になります。これは100円ショップでも手に入ります。
(2)声を、よく聞き取れるように録る
動画にとって声をきちんと録ることは特に重要です。そのためには静かな部屋で、被写体とスマホの距離を1メートル以内に保つことが必要です。話す人は、スマホに向かってはっきり聞き取れる声の大きさとスピードで話しましょう。
(3)明るく撮る
明るく撮ると聞くと照明機材を連想してしまいますが、明るい昼間に撮影すればほとんど解決します。
【ステップ4】 アプリでシンプルに編集する。編集とは「しっかり考えて撮ったものを並べて、文字を入れて整える」作業
─ 動画作成には、撮影と編集作業があります。編集はどうしたらいいでしょうか。
[オリカワ]無料の動画編集アプリもたくさんあります。必要最低限の機能はどのアプリにも備わっています。「オススメの編集アプリは?」とよく質問を受けますが、アプリを探し続けるのは編集に慣れてきてからでいいですよ、とお伝えしています。
iPhoneの方はiMovie、Androidの方はVLLOあたりが使いやすいと思います。
動画編集に慣れていない方へのアドバイスは2つあります。
1つは、編集アプリに期待しすぎないこと。
撮影の失敗を編集で何とかしようとするのはやめましょう。多くの場合、撮影の失敗はどうにもなりません。小さくて見えないからといってアプリで拡大しても画質が粗くなるだけですし、声が聞き取れないからといって音量を上げてもより騒がしくなるだけ。
映像に問題がある場合は、撮り直しを検討しましょう。
もう一つは、編集に凝ろうとしないこと。
昨今の編集アプリには面白そうな機能がいっぱいついています。ついていると使いたくなるのが人情ですが、本当にそれがいい結果につながるのかは冷静に考える必要があります。
編集作業というのは基本的に、「しっかり考えて撮ったものを並べて、文字を入れて整える」だけ。
このくらいに留めるのがいいと思います。
【ステップ5】 公開場所に合わせて動画をアップロードする。アップして反省点を改善し上達していく
─ 最後のステップは公開です。
[オリカワ]SNSに公開する場合は、動画の説明文も工夫しましょう。動画が見たくなるように誘導する表現を考える。そして、ハッシュタグをつけて検索してもらえるようにします。
YouTubeで公開する場合は、説明文、ハッシュタグのほか、タイトルとサムネイル画像も大変重要な要素となります。
いずれにしても、企業やお店独自のアカウントを取得しておきましょう。
最初のころは、動画を公開することにものすごい心理的な抵抗があるものです。
「炎上するのでは?」「下手で笑われるかも」などと考えてしまいますが、ほとんどの場合、それほど試聴すらされません。だから最初のうちは練習と割り切るのも1つです。
失敗作でいい、ひどい出来でもいい。
1度動画を完成させてみると、必ず違う世界が開けます。
その後、反省点を改善していくことが、1番効率的な進め方です。
「情報を伝える・記録する動画」は初心者でも作りやすいですし、むしろ、関係者しか作れない部分も多いと思います。
そして、その情報を知りたい人、見たい人がいるのです。
今回は、「今、見せたいものを、すぐ動画にして発信する方法」について、お伝えしてきました。
厳しい社会状況が続き、なかなか心の余裕は無いかもしれません。でも何か、できることからトライしてみませんか。
1人でも多くの方が、動画作りの初めの第1歩を踏み出していただけましたら幸いです。
─ ありがとうございました。
詳しくは、オリカワシュウイチさんの著書「iPhoneで作ろうビジネス動画の教科書」もあわせてお読み下さい。
iPhoneで作ろう ビジネス動画の教科書
・著者:オリカワ シュウイチ
・定価:本体2,200円(税別)
・判型:A5判(横148mm×縦210mm×幅16mm)
・ページ数:296ページ
・ISBN:978-4-295-40433-0
・発行:株式会社ペンコム
・発売:株式会社インプレス
オリカワシュウイチ
映画制作体験プロデューサー
1994年にビデオカメラ1台で映画制作を開始。数々の失敗を繰り返しながら22作品を監督、様々な映画祭で上映される。第1回JASRAC音楽文化賞受賞(映画アオギリにたくして制作委員会)。
2003年より初心者向け映画ワークショップを全国で開始、1000人以上にアドバイス。作った教材は高校や大学の蔵書となり、在京テレビ局スタッフ向けの講義や企業向けワークショップ・研修も開催。インタビューや企業紹介動画も数多く制作する。
専門用語を一切使わない、映像作りに初めて触れる人にも分かりやすい教え方に定評がある。
2008年から配信の映像作りのノウハウや楽しさを伝えるメルマガ「映画が作れるようになるメールマガジン」の登録者数は1700人に上る。
1975年広島県生まれ。電気通信大学卒。。
映画工房カルフのように https://karufu.net/
出版社ペンコム
兵庫県明石市の出版社ペンコムは、インプレスのパートナー出版社。本や広報紙、ウェブなど「ペン」をツールに、まちやひとを応援する会社です。 著者さんと共に、一人でも多くの人に「ああ、この本に出会えて良かった」と感じてもらえるような1冊を送り出していきたいと考えています。
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