連合調べ 服装や身だしなみについての決まりの有無 「ある」57.1% 「男性は長髪NG」「女性はシャツ色ピンク」 「女性はパンプス」など、男女で異なる決まりが多数
~社内ルールにおける男女差に関する調査2019~
日本労働組合総連合会(略称:連合、所在地:東京都千代田区、会長:神津 里季生)は、職場における服装・身だしなみや旧姓・通称使用についての決まり・ルールに関する意識や実態を把握するため、「社内ルールにおける男女差に関する調査」を2019年10月2日~10月4日の3日間でインターネットリサーチにより実施し、全国の20歳~59歳の有職者1,000名の有効サンプルを集計しました。(調査協力機関:ネットエイジア株式会社)
[調査結果]
職場での決まりについて
◆普段、仕事をするときの服装は?「制服」44.3%、「市販のスーツを含む私服」47.0%、「TPOで異なる」8.7%
全国の20歳~59歳の有職者(パート・アルバイトを除いた被用者)1,000名(全回答者)に、仕事をするときの服装を聞いたところ、「制服」は44.3%、「私服(市販のスーツ含む)」は47.0%、「TPOに応じて異なる」は8.7%でした。
業種別にみると、「制服」が最も高い割合を占めたのは[宿泊業,飲食サービス業](83.3%)、[医療,福祉業](64.8%)、[製造業](59.4%)、[運輸業,郵便業](59.3%)で、「私服」が最も高い割合を占めたのは[教育,学習支援業](73.1%)、[金融業,保険業](71.4%)、[公務](63.9%)、[情報通信業](61.9%)、[卸売業,小売業](50.9%)、[サービス業](48.8%)、[建設業](47.9%)でした。
◆服装や身だしなみについての決まりの有無 「ある」57.1%、宿泊業や飲食サービス業が高い傾向
◆服装や身だしなみについての規定方法 TOP3「就業規則」「服務規程」「服装規定」
続いて、服装や身だしなみの決まりについて質問しました。
全回答者(1,000名)に、自身の勤め先では、服装や身だしなみについて決まりはあるか聞いたところ、「ある」は57.1%、「ない」は42.9%で、決まりがあるという人が多くなりました。
業種別にみると、服装や身だしなみについて決まりがあると回答した人の割合が高くなったのは、[宿泊業,飲食サービス業](86.7%)や[金融業,保険業](71.4%)でした。
仕事で社外の人に会う機会の有無別に、決まりがあると回答した人の割合をみると、機会がある人では60.5%と、機会がない人(52.9%)と比べて高くなりました。
勤め先で、服装や身だしなみについての決まりがある人(571名)に、その決まりは何で規定されているか聞いたところ、「就業規則」(45.7%)が最も高く、以降、「服務規程」(26.3%)、「服装規定」(20.8%)、「口頭説明」(18.0%)、「慣習」(10.0%)が続きました。
また、勤め先の就業規則を見たことがあるか聞いたところ、「ある」は76.7%、「ない」は23.3%で、見たことがあるという人が多数派でした。
◆「男性は長髪NG」「女性はシャツ色ピンク」「女性はパンプス」など、男女で異なる決まりが多数
◆「パンプスのヒールの高さに決まりがある」19.4%
次に、勤め先で、服装や身だしなみについての決まりがある人(571名)に、具体的な決まりの有無について聞きました。
決まりがあると回答した人の割合は、【髪に関する決まり】では41.9%、【入れ墨、タトゥに関する決まり】では40.3%、【ヒゲに関する決まり】では33.1%となりました。
「ある」と回答した人の割合を男女別にみると、【髪に関する決まり】では女性は45.0%と、男性(38.9%)と比べて高く、【入れ墨、タトゥに関する決まり】では男性は44.7%と、女性(35.6%)と比べて高くなりました。
次に、男女で異なる決まりがあると回答した人の割合は、【服装に関する決まり】では22.6%、【服装の色に関する決まり】では9.1%、【靴に関する決まり】では16.8%でした。
「ある」と回答した人の割合を男女別にみると、【服装に関する決まり】では女性は25.3%と、男性(19.8%)と比べて5ポイント以上高くなりました。
また、男性または女性のみの決まりがあると回答した人の割合は、【男性はスーツを着用しなければならないという決まり】では19.4%、【男性はネクタイをしなければならないという決まり】では19.6%、【男性はピアスをしてはならないという決まり】では32.9%、【女性は化粧をしなければならないという決まり】では15.1%でした。
男女別にみると、【男性はスーツを着用しなければならないという決まり】が「ある」と回答した男性は22.5%、【男性はネクタイをしなければならないという決まり】が「ある」と回答した男性は25.3%、【男性はピアスをしてはならないという決まり】が「ある」と回答した男性は36.5%でした。他方、【女性は化粧をしなければならないという決まり】が「ある」と回答した女性は21.9%となりました。
具体的な決まりがあると回答した人に、その決まりの内容を聞いたところ、【髪に関する決まり】については、「男性は長髪NG」や「男性は黒色、女性はあまり派手ではない茶色」といった回答が挙げられました。
また、男女で異なる決まりのうち、【服装に関して男女で異なる決まり】については、「男性は作業着かスーツ、女性は私服」や「男性はネクタイとジャケット必須、女性はジャケット着用任意」、【服装の色に関して男女で異なる決まり】については、「制服のシャツの色が男性は水色、女性はピンク」や「男性にはネイビー、女性にはシルバーの制服を貸与」、【靴に関して男女で異なる決まり】については、「男性は革靴、女性はパンプス」や「男性は革靴、女性はヒールのあるもの」といった回答がみられました。
そのほかの決まりについて、勤め先で、服装や身だしなみについての決まりがある人(571名)に、女性が履くパンプスについても聞いたところ、ヒールの高さに『決まりがある』は19.4%、「決まりはない・決まりがあるかわからない」は80.6%でした。
男女別にみると、『決まりがある』と回答した人の割合は、男性20.1%、女性18.7%となりました。
◆服装や身だしなみの決まりに従わないときの扱い 「何らかの処分がある」19.4%、「何もない」30.5%
処分の内容は? 最多は「始末書提出」
では、定められた決まりに従わない場合、どのような扱いを受けることになるのでしょうか。
勤め先で、服装や身だしなみについての決まりがある人(571名)に、服装や身だしなみの決まりに従わない場合はどのようになるか聞いたところ、何らかの処分がある人の割合は19.4%となり、「何もない」は30.5%でした。
処分の内容をみると、「始末書提出」(9.8%)が最も高く、以降、「降格、減給」(5.6%)、「解雇、契約打ち切り」(5.4%)が続きました。
◆服装・身だしなみについての職場での決まり 「最低限でよい」54.9%、「本人に任せるべき」18.1%
◆決まりが男女で異なることについて思うこと 「仕方ない」36.2%、「TPOによって変えるべき」31.5%
全回答者(1,000名)に、服装・身だしなみの決まりについて思うことを聞いたところ、「あったほうがよい」は14.7%、「最低限でよいと思う」は54.9%、「本人に任せるべき」は18.1%、「ないほうがよい」は5.2%で、最低限の決まりで足りると考えている人が多い結果となりました。
男女別にみると、「最低限でよいと思う」は男性では49.8%、女性では60.0%と、女性のほうが高くなりました。
また、服装・身だしなみの決まりが男女で異なることをどのように思うか聞いたところ、「仕方ないと思う」(36.2%)が最も高く、次いで、「TPOによって変えるべきだと思う」(31.5%)、「男女で統一した決まりならよいと思う」(14.4%)となりました。男女で決まりに違いがあることについては、ある程度は許容すべきと考えられているようです。
男女別にみると、女性では「TPOによって変えるべきだと思う」は35.4%、「男女で統一した決まりならよいと思う」は18.0%と、男性(それぞれ27.6%、10.8%)と比べて高くなりました。
職場での旧姓・通称使用について
◆「職場で旧姓・通称の使用がともに認められている」36.3%
職場での旧姓や通称使用の容認状況について質問しました。
全回答者(1,000名)に、職場では、旧姓(結婚前の名字)や通称の使用が認められているか聞いたところ、「旧姓・通称の使用がともに認められている」は36.3%、「旧姓の使用のみ認められている」は9.2%、「(どちらも)認められていない」は7.1%、「わからない」は47.4%でした。状況を把握している人のなかでは、旧姓と通称のどちらも使用可能という職場が多いことがわかりました。
業種別にみると、「旧姓・通称の使用がともに認められている」は[教育,学習支援業](46.3%)が最も高く、[公務](45.9%)、[情報通信業](42.9%)が続きました。
では、どの範囲まで認められているのでしょうか。
旧姓・通称の使用が認められている、または、旧姓の使用が認められている人(455名)に、どの範囲まで使用が認められているか聞いたところ、「名札や名刺」(80.9%)が最も高く、次いで、「社内名簿」(59.6%)、「印鑑」(43.7%)となりました。
名字の変更と選択的夫婦別姓制度について
◆入籍して名字を変えたときに感じたこと 「結婚を実感」52.7%、「名前の変更手続きが面倒」34.8%
法律上、現在は夫婦同氏の原則がとられているため、入籍の際は、夫または妻のどちらの名字を称することにするかを決め、届出をする必要があります。
入籍して名字を変えた人(207名)に、名字を変えたときに感じたことを聞いたところ、「結婚したと実感した」(52.7%)が最も高く、以降、「名前の変更手続きが面倒だった」(34.8%)、「できれば変えたくなかったが仕方なかった」(9.2%)が続きました。配偶者と同じ名字になることで結婚を実感できたという人や、多くの手続きをしなければならないということに煩わしさを感じたという人が多いようです。
◆「選択的夫婦別姓という言葉や制度を知っている」83.3%
◆選択的夫婦別姓制度の導入に向けた法改正についての意識 「賛成」44.6%、「反対」8.7%
続いて、夫婦が望めば、結婚後もそれぞれ従前の姓を名乗ることを認める制度である“選択的夫婦別姓”について質問しました。
まず、全回答者(1,000名)に、選択的夫婦別姓という言葉や制度を知っているか聞いたところ、「知っている」は46.8%、「聞いたことがある」は36.5%で、合計した『認知率(計)』は83.3%となりました。選択的夫婦別姓については、近年話題になっているためか、多くの人が知っているという結果でした。
また、選択的夫婦別姓制度の導入に向けた法改正について、賛成か、反対かを聞いたところ、「賛成」は44.6%、「反対」は8.7%、「どちらでもない」は46.7%となりました。
男女別にみると、「賛成」は女性では49.4%と、男性(39.8%)と比べて約10ポイント高くなりました。
◆選択的夫婦別姓制度が導入されたら? 「同姓がよい/同姓でよい」40.7%、「別姓がよい/別姓でよい」4.9%
◆「自分の名字をどうするか相談して決める」50.5%、相談相手TOP3は「配偶者」「自分の親」「配偶者の親」
次に、選択的夫婦別姓制度が導入された場合にどのようにしたいと思うか、その意向をみると、「同姓がよい/同姓でよい」は40.7%、「別姓がよい/別姓でよい」は4.9%、「どちらでもよい」は39.6%、「わからない」は14.8%でした。
もし選択的夫婦別姓制度が導入されたとしたら、自分の名字をどうするかについて、誰と相談して決めると思うか聞いたところ、相談すると思う相手としては、「配偶者」(45.8%)が最も高く、以降、「自分の親」(17.6%)、「配偶者の親」(8.3%)が続き、誰かと相談して決めるという人の割合は50.5%となりました。また、「わからない」は13.1%、「相談はしない」は36.4%でした。男女別にみると、誰かと相談して決めるという人の割合は、男性では43.4%、女性では57.6%で、女性のほうが高くなりました。