ソフトウェア開発の定石を覆す発見 4/15 論文誌「情報処理学会論文誌」に掲載

2017-04-16 09:00

近畿大学(大阪府東大阪)理工学部情報学科講師の角田(つのだ)雅照と岡山県立大学情報工学部情報システム工学科の天嵜(あまさき)聡介助教らのグループは、プログラミング言語※1 がソフトウェア開発に与える影響を明らかにしました。本件に関する論文が、平成29年(2017年)4月15日(土)発行の論文誌「情報処理学会論文誌」に掲載されました。

【本件のポイント】
●一般的に生産性※2 が低いと思われていたプログラミング言語が実際は高いことを発見
●経済学で用いられる分析法(傾向スコア法※3)がソフトウェア開発のデータ分析に有用
●ソフトウェア開発の定石を見直すきっかけになることが期待される

【本件の概要】
ソフトウェア開発の生産性を高めるために、どのようなプログラミング言語を選択するかは重要な課題のひとつであり、これまでもソフトウェア開発で得られたデータから、各プログラミング言語の生産性について分析されてきました。
本研究では、経済学などで用いられている傾向スコア法を利用して分析した結果、従来の分析方法では生産性が低いとみなされていた金融業や保険業で用いられるCOBOL※4 が、相対的に生産性が高く、「COBOLが多く使われるような条件(金融業や保険業)では、その他の言語よりもCOBOLを使用する方が生産性が高まる」という結論が導かれました。
本研究ではプログラミング言語のみを分析対象としましたが、その他のデータについても、傾向スコア法を用いて分析することにより、従来と異なる結果が得られる可能性があり、その結果従来のソフトウェア開発の計画立案の定石が見直されることが期待されます。

※1 プログラミング言語… ソフトウェアの動作を記述するための記法。
             COBOL,Javaなどさまざまな種類が存在し、それぞれ記法が異なる。
※2 生産性…効率。開発者が1時間あたりに記述できるソフトウェアの量を示す。
※3 傾向スコア法…比較するデータの背景を同じにした状態で比較する統計手法
※4 COBOL…プログラミング言語の一種。比較的古い言語であるが、現在も広く使われている。

【掲載誌】
■雑誌名:『情報処理学会論文誌 Vol.58 No.4』 発行:情報処理学会
■論文名:ソフトウェア開発プロジェクトの生産性分析に対する傾向スコアの適用
■著 者:近畿大学 理工学部情報学科 講師 角田雅照
     岡山県立大学 情報工学部情報システム工学科 助教 天嵜聡介

【プロフィール】
■近畿大学 理工学部 情報学科 講師 角田 雅照(つのだ まさてる)
専   門:ソフトウェア工学
研究テーマ:ソフトウェアメトリクス
受 賞 歴:SEC journal 論文賞 SEC 所長賞[2015]、
      SES 2015 インタラクティブ賞 [2015]、
      IWESEP 2012 Best Paper Award[2012]

■岡山県立大学 情報工学部情報システム工学科 助教 天嵜 聡介(あまさき そうすけ)
専   門:ソフトウェア工学
研究テーマ:工数見積り手法,fault-prone モジュール判別手法
受 賞 歴:Profes 2013 Best paper award [2013] 、
      ESEM 2012 Best Short Paper Award [2012]

【関連リンク】
理工学部情報学科 講師 角田 雅照(つのだ まさてる)
http://www.kindai.ac.jp/meikan/469-tsunoda-masateru.html

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