連合調べ 「アルバイト先で労働時間や賃金などの労働条件、 ハラスメント、人間関係等の トラブルにあったことがある」 アルバイト経験がある学生の32.6%
~学生を対象とした労働に関する調査~
日本労働組合総連合会(略称:連合、所在地:東京都千代田区、会長:芳野 友子)は、学生の労働に対する意識や実態を把握するために、「学生を対象とした労働に関する調査」をインターネットリサーチにより2022年10月31日~11月1日の2日間で実施、学生(高校生、高専生、大学生、専門学校生、短大生、大学院生)の男女1,000名の有効サンプルを集計しました(調査協力機関:ネットエイジア株式会社)。
[調査結果]
学生のアルバイトに関する意識・実態
◆学生のアルバイト経験 「現在している」53.2%、「現在はしていないがしたことがある」15.6%
アルバイト先を選んだ理由TOP2は「家や学校から近いなど交通の便が良い」「勤務時間の都合が良い」
学生(高校生、高専生、大学生、専門学校生、短大生、大学院生)の男女1,000名(全回答者)に、アルバイトについて質問しました。
まず、全回答者(1,000名)に、現在アルバイトをしているか聞いたところ、「している」が53.2%、「現在はしていないが、したことがある」が15.6%で、合計した『経験あり(計)』は68.8%、「したことはない」は31.2%となりました。
男女別にみると、アルバイト経験がある人の割合は、女性では71.8%と、男性(65.8%)と比べて6.0ポイント高くなりました。
学生区分別にみると、アルバイト経験がある人の割合は、高校生・高専生では35.8%、大学生・専門学校生・短大生・大学院生(以下、「大学生等」)では90.7%となりました。大学生等の大多数が何らかのアルバイトの経験をしていることがわかりました。
アルバイト経験がある人(688名)に、アルバイト先を選んだ理由を聞いたところ、「家や学校から近いなど交通の便が良い」(52.8%)が最も高くなりました。職場へのアクセスの良さなど、利便性を重視して選んだ人が多いようです。次いで高くなったのは、「勤務時間の都合が良い」(37.4%)、「賃金(給料)が高い」(36.5%)、「やりたい仕事である」(20.2%)、「友人・知人からの紹介」(19.2%)でした。
男女別にみると、女性では「家や学校から近いなど交通の便が良い」が60.7%と、男性(44.1%)と比べて16.6ポイント高くなりました。
◆「アルバイト先で労働時間や賃金などの労働条件、ハラスメント、人間関係等のトラブルにあったことがある」アルバイト経験がある学生の32.6%
遭遇したトラブルTOP2は「労働時間関係(長時間労働、シフト等)」「人間関係(いじめ、ハラスメント等)」
次に、アルバイト経験がある人(688名)に、アルバイト先で労働時間や賃金などの労働条件、ハラスメント、人間関係等のトラブルにあったことがあるか聞いたところ、「トラブルにあったことがある」は32.6%、「トラブルにあったことはない」は67.4%となりました。
では、どのようなトラブルを経験している人が多いのでしょうか。
アルバイト先で労働時間や賃金などの労働条件、ハラスメント、人間関係等のトラブルにあったことがある人(224名)に、どのようなトラブルにあったか聞いたところ、「労働時間関係(長時間労働、シフト等)」(43.3%)と「人間関係(いじめ、ハラスメント等)」(42.4%)が特に高くなり、「休日・休暇関係」(25.4%)、「賃金関係(未払い、最低賃金等)」(19.6%)、「雇用関係(解雇、雇止め等)」(8.5%)が続きました。
◆アルバイト先におけるトラブルを相談したい場合、どこに相談するか?
「家族・友人」72.8%、「アルバイト先の上司、同僚」29.1%、「SNSを利用」12.6%
高校生・高専生では「SNSを利用」が18.3%
全回答者(1,000名)に、アルバイト先におけるトラブルを相談したい場合、どこに相談するか聞いたところ、「家族・友人」(72.8%)が突出して高くなりました。家族や友人など身近な人を、トラブルにあったときの相談相手とイメージしている人が多いようです。次いで高くなったのは、「アルバイト先の上司、同僚」(29.1%)、「SNS(Twitter、Facebook等)を利用」(12.6%)、「アルバイト先の相談窓口(総務・人事)」(12.1%)、「行政機関(労働基準監督署や県の労働局、ハローワーク)」(9.5%)でした。
男女別にみると、女性では「家族・友人」が81.0%と、男性(64.6%)と比べて16.4ポイント高くなりました。
学生区分別にみると、高校生・高専生では「SNS(Twitter、Facebook等)を利用」が18.3%と、大学生等(8.8%)と比べて9.5ポイント高くなりました。
卒業後の進路と勤続意向について
◆卒業後の希望進路
高校生・高専生では「就職」20.6%、「進学」79.4% 大学生等では「就職」85.5%、「進学」14.5%
◆就職活動の際の企業・組織選びで重視したいこと
高校生・高専生1位「やりがいがありそうな仕事である」2位「賃金が高い」3位「社内の雰囲気が良い」
大学生等1位「賃金が高い」2位「無期雇用(正社員)である」3位「やりがいがありそうな仕事である」
全回答者(1,000名)に、現在の学校を卒業した後の希望進路を聞いたところ、高校生・高専生では「就職」が20.6%、「進学」が79.4%、大学生等では「就職」が85.5%、「進学」が14.5%となりました。
卒業後の希望進路が就職の人(高校生・高専生82名、大学生等514名)に、就職活動の際の企業・組織選びで重視したいことを聞いたところ、高校生・高専生では「やりがいがありそうな仕事である」(30.5%)が最も高くなりました。達成感や充実感を得られる仕事かどうかを重要視する人が多いようです。次いで高くなったのは、「賃金(給料)が高い」(28.0%)、「社内の雰囲気が良い」(26.8%)、「プライベートの時間を作りやすい」(23.2%)、「無期雇用(正社員)である」(22.0%)でした。
男女別にみると、女性では「社内の雰囲気が良い」(34.3%)が1位でした。
他方、大学生等では「賃金(給料)が高い」(39.7%)と「無期雇用(正社員)である」(39.1%)が高くなり、「やりがいがありそうな仕事である」(38.3%)、「プライベートの時間を作りやすい」(34.0%)、「社内の雰囲気が良い」(31.1%)が続きました。
男女別にみると、男性では「無期雇用(正社員)である」(39.8%)が1位でした。
◆卒業後に就職した会社で定年まで勤め続けたい? 「勤め続けたい」77.1%、「勤め続けたくない」22.9%
勤め続けたいと思う理由 1位「安定した仕事に就きたい」2位「長く一つのことに取り組みたい」
勤め続けたいと思わない理由 「キャリアアップを目指したい」「しんどい思いをしてまで続けたくない」など
全回答者(1,000名)に、卒業後に就職した会社で定年まで勤め続けたいと思うか聞いたところ、「勤め続けたい」は77.1%、「勤め続けたくない」は22.9%となりました。大多数の人が、定年までの勤続意向を持っている実情が明らかになりました。
卒業後に就職した会社で定年まで勤め続けたいと思う人(771名)に、勤め続けたいと思う理由を聞いたところ、「安定した仕事に就きたいから」(61.1%)が突出して高くなり、「長く一つのことに取り組みたいから」(28.4%)、「転職や独立は大変そうだから」(23.7%)、「変化が苦手だから」(20.1%)が続きました。
学生区分別にみると、高校生・高専生では「安定した仕事に就きたいから」が68.9%と大学生等(55.8%)と比べて10ポイント以上高くなり、大学生等では「長く一つのことに取り組みたいから」が32.9%と高校生・高専生(21.7%)と比べて10ポイント以上高くなりました。
他方、卒業後に就職した会社で定年まで勤め続けたいと思わない人(229名)に、勤め続けたいと思わない理由を聞いたところ、女性では「一度や二度は環境を変えて、新鮮な気持ちで働きたい」や「キャリアアップを目指したい」、「長くは続かないと思う」、「しんどい思いをしてまで続けたくない」、「独立し、開業するのが目標」、男性では「転職して給料を上げたい」や「一つの仕事にこだわらず、その時々で自分に合った仕事をしたい」、「賃金が高いところにその都度転職したい」、「長い間同じ会社に勤めることは難しい」、「飽きてしまうと思う」といった回答がありました。
労働に関する知識について
◆「働くときに必要な法律や知識(ワークルール)について学習する機会があった」62.1%
学習した場所 1位「学校」2位「自分で調べた」3位「アルバイト先」
働くときに必要な法律やワークルールなど、労働に関する知識について質問しました。
全回答者(1,000名)に、学校やアルバイト先で、賃金や労働時間、休日など、働くときに必要な法律や知識(ワークルール)について学習する機会があったか聞いたところ、「あった」は62.1%、「なかった」は37.9%となりました。
学生区分別にみると、学習する機会があった人の割合は、大学生等では64.9%と、高校生・高専生(57.9%)と比べて7.0ポイント高くなりました。
アルバイト経験有無別にみると、学習する機会があった人の割合は、アルバイト経験がある人では67.2%と、アルバイト経験がない人(51.0%)と比べて16.2ポイント高くなりました。
働くときに必要な法律や知識(ワークルール)について学習する機会があった人(621名)に、どこで学習したか聞いたところ、「学校」(57.5%)が最も高くなり、「自分で調べた」(41.1%)、「アルバイト先」(21.1%)、「労働組合」(2.4%)と続きました。
学生区分別にみると、高校生・高専生では「学校」が67.5%と、大学生等(51.5%)と比べて16.0ポイント高くなりました。
ここで、アルバイト先で労働時間や賃金などの労働条件、ハラスメント、人間関係等のトラブルにあったことの有無をみると、働くときに必要な法律や知識の学習経験がある人では「トラブルにあったことがある」が38.1%、「トラブルにあったことはない」が61.9%、働くときに必要な法律や知識について自分で調べた経験がある人では「トラブルにあったことがある」が38.4%、「トラブルにあったことはない」が61.6%となりました。トラブルにあったことでワークルールについて学んだりワークルールについて自分で調べたりしたケースや、実際はトラブルであるにも関わらずトラブルと認識していなかったケースがあるのではないでしょうか。
◆「働くときに必要な法律や知識(ワークルール)について学びたい」就職希望者の61.4%
教材や資料などはどのような形式であれば前向きに学べる? 1位「動画」2位「冊子」3位「電子ファイル」
卒業後の希望進路が就職の人(596名)に、賃金や労働時間、休日など、働くときに必要な法律や知識(ワークルール)について学びたいか聞いたところ、「学びたい」は61.4%、「学びたくない」は13.4%、「どちらでもない」は25.2%となり、「学びたい」は「学びたくない」の約4.6倍、「どちらでもない」の約2.4倍でした。
男女別にみると、学びたい人の割合は、男性では66.1%と、女性(56.7%)と比べて9.4ポイント高くなりました。
働くときに必要な法律や知識の学習経験有無別にみると、学びたい人の割合は、学習したことがある人では69.0%となりました。すでに学んだ知識をさらに深めてしっかりと身につけることで、労働に関するトラブルにあわないようにしたいと考えている人が多いのではないでしょうか。
働くときに必要な法律や知識(ワークルール)について学びたい人(366名)に、学ぶときの教材や資料などはどのような形式であれば前向きに学べると思うか聞いたところ、「動画(10分程度)」が58.5%で最も高くなり、「冊子(紙)」が32.0%、「電子ファイル(PDF等)」が27.6%、「動画(30分程度)」が25.4%、「参加型イベント」が17.5%、「音声」が7.1%で続きました。また、『動画(計)』の割合は72.4%でした。スマホやタブレットなどを活用し、動画でわかりやすく学びたいと思う人が多いのではないでしょうか。
労働組合について
◆労働に関係する言葉で聞いたことがあるもの
「ストライキ」71.2%、「労働組合」69.5%、「最低賃金」69.0%、「男女雇用機会均等法」68.9%
全回答者(1,000名)に、労働に関係する言葉について、聞いたことがあるものを質問したところ、「ストライキ」(71.2%)が最も高くなり、「労働組合」(69.5%)、「最低賃金」(69.0%)、「男女雇用機会均等法」(68.9%)、「労働基準法」(68.2%)が続きました。労働者による争議行動であるストライキのほか、労働者により組織される団体、賃金に関するルール、労働に関する法律について聞いたことがあるという人が多い結果となりました。以降、「デモ」(58.1%)、「団体交渉権」(51.3%)、「団結権」(47.6%)、「団体行動権」(47.4%)、「育児介護休業法」(38.1%)、「メーデー」(36.3%)、「連合(日本労働組合総連合会)」(32.1%)、「安全衛生法」(28.2%)、「同一労働同一賃金」(25.3%)、「割増賃金」(24.0%)といった言葉が高くなりました。
◆労働組合と聞いた際に思い浮かべるイメージ
1位「真面目な」2位「堅実な」3位「保守的な」4位「影響力のある」5位「信頼できる」
◆連合(日本労働組合総連合会)に対するイメージ
1位「堅実な」2位「真面目な」3位「影響力のある」4位「頼れる」5位「伝統的だ」
労働組合について質問しました。
全回答者(1,000名)に、労働組合と聞いた際に思い浮かべるイメージを聞いたところ、「真面目な」(22.2%)が最も高くなり、「堅実な」(20.7%)、「保守的な」(19.0%)、「影響力のある」(18.3%)、「信頼できる」(17.2%)が続きました。
男女別にみると、女性では1位「真面目な」(25.2%)、2位「堅実な」(24.2%)、3位「保守的な」「影響力のある」(いずれも17.2%)、男性では1位「保守的な」(20.8%)、2位「影響力のある」(19.4%)、3位「真面目な」(19.2%)となりました。
連合(日本労働組合総連合会)を知っている人(321名)に、連合(日本労働組合総連合会)についてどのようなイメージを持っているか聞いたところ、「堅実な」(27.4%)が最も高くなり、「真面目な」(23.7%)、「影響力のある」(19.6%)、「頼れる」(17.8%)、「伝統的だ」(17.4%)が続きました。
男女別にみると、男女とも「堅実な」(女性31.0%、男性23.9%)が1位となり、女性では2位「真面目な」(27.8%)、3位「影響力のある」「頼れる」(いずれも16.5%)、男性では2位「影響力のある」(22.7%)、3位「伝統的だ」(20.9%)でした。
◆「身近な人で労働組合に加入している人がいる」14.0%
◆「学校の授業等で労働組合について習ったことがある」57.5%
◆「働くうえで労働組合は必要だと思う」63.1%、労働組合加入者が身近にいる人では87.1%
全回答者(1,000名)に、身近な人で労働組合に加入している人はいるか聞いたところ、「いる」は14.0%、「いない」は23.4%、「わからない」は62.6%となりました。
また、学校の授業等で労働組合について習ったことはあるか聞いたところ、「ある」は57.5%、「ない」は22.0%、「わからない」は20.5%となりました。学校が労働組合について知るきっかけになっているケースは多いようです。
労働組合の必要性については、どのように感じている人が多いのでしょうか。
働くうえで労働組合は必要だと思うか聞いたところ、「思う」は63.1%、「思わない」は4.4%、「わからない」は32.5%と、多くの人が必要性を実感している結果となりました。
労働組合加入者が身近にいるかどうかでみると、労働組合は必要だと思う人の割合は、身近にいる人では87.1%と、身近にいない人(63.2%)と比べて23.9ポイント高くなりました。
また、労働組合について習ったことがあるかどうかでみると、労働組合は必要だと思う人の割合は、習ったことがある人では78.4%と、習ったことがない人(55.9%)と比べて22.5ポイント高くなりました。
労働組合に加入している人から労働組合について話を聞いたり、学校で労働組合について学んだりすることで労働組合に対する理解が深まっているケースがあるのではないでしょうか。
◆「ここ半年間で、労働組合に関わる情報を見かけた」33.7%
見かけたメディアは「SNS」14.9%、「新聞、テレビ、ラジオなどのニュース」14.0%
全回答者(1,000名)に、ここ半年間で、労働組合に関わる情報をどのようなメディアで見かけたか聞いたところ、「SNS(Instagram、Twitter、LINE、Facebook、Podcast、YouTube等)」は14.9%、「新聞、テレビ、ラジオなどのニュース」は14.0%、「Yahoo!ニュースなどのインターネットニュース」は10.1%、「街頭などでの演説」は4.0%、「街角等で配布しているティッシュやチラシ」は3.6%で、『見かけた』は33.7%となり、「見かけていない」は66.3%でした。SNSを介して労働組合について見聞きしているケースが多いようです。
男女別にみると、労働組合に関わる情報を見かけた人の割合は、男性では41.4%と、女性(26.0%)と比べて15.4ポイント高くなりました。
男女・学生区分別にみると、高校生・高専生の男性では「SNS(Instagram、Twitter、LINE、Facebook、Podcast、YouTube等)」(21.3%)が全体と比べて5ポイント以上高くなりました。
◆「就職先に労働組合があれば、加入したいと思う」60.6%、労働組合加入者が身近にいる人では87.1%
最後に、就職先での労働組合加入意向について質問しました。
全回答者(1,000名)に、就職先に労働組合があれば、加入したいと思うか聞いたところ、「加入したい」は60.6%、「加入したくない」は39.4%となりました。労働環境の改善や労働問題の早期解決などに取り組む労働組合の活動に期待している人が多いのではないでしょうか。
労働組合加入者が身近にいるかどうかでみると、加入したいと思う人の割合は、身近にいる人では87.1%と、身近にいない人(44.4%)と比べて42.7ポイント高くなりました。
また、労働組合について習ったことがあるかどうかでみると、加入したいと思う人の割合は、習ったことがある人では69.9%と、習ったことがない人(52.7%)と比べて17.2ポイント高くなりました。労働組合について学ぶことで、労働組合に対する理解が深まり、加入に対し前向きになるケースがあるようです。
調査概要■
調査タイトル:学生を対象とした労働に関する調査
調査対象:ネットエイジアリサーチのモニター会員を母集団とする学生(高校生、高専生、大学生、専門学校生、短大生、大学院生)の男女
調査期間:2022年10月31日~11月1日
調査方法:インターネット調査
調査地域:全国
有効回答数:1,000サンプル(男女が均等になるように割付)
実施機関:ネットエイジア株式会社