"オール近大"川俣町復興支援プロジェクト” 震災復興アドバイザー委嘱状交付式および食品モニタステーション贈呈式を挙行

近畿大学(大阪府東大阪市、学長:塩﨑均)は本日平成25年(2013年)5月31日(金)、東日本大震災に伴う原発事故によりいまだ計画的避難地域もある福島県川俣町(町長:古川道郎)と、震災復興アドバイザー委嘱状交付式および食品モニタステーション贈呈式を挙行しました。平成23年(2011年)3月の東日本大震災発生以降、川俣町の早期再生・復興に向けて継続的な支援活動を行ってきましたが、今回の式典を機に、総合大学としての研究力を生かし、総力を挙げて川俣町を支援するために「"オール近大"川俣町復興支援プロジェクト」(※)の本格始動を開始します。本プロジェクトのように、大学が総力を挙げて自治体の震災復興支援をするのは、国内では非常に珍しいケースとなります。両者は今回の取り組みを成功させることが、復興のモデルケースとして同様の環境下にある他の地域にも波及し、川俣町のみならず、福島県全県の復興に寄与できるものと考えています。


本式典では、一般食品に含有される放射性セシウムの量を測定するための食品モニタステーションが、川俣町に贈呈されました。川俣町の古川道郎町長は式典にて、「子どもの安全・健康を守るためにも、放射線量を正確に確認することは必要。近畿大学から頂いたガラスバッジを使い放射線測定をすることで、川俣町の子どもの健康に対する不安を和らげることができた。今回また震災復興アドバイザーを快く引き受けていただいたことを感謝します」とご挨拶されました。
一方、近畿大学学長・塩﨑均は「13学部48学科を有する近畿大学だからこそできることが様々あり、“オール近大”で支援したい。また、今回のプロジェクトが復興支援のモデルにもなるよう、全力をあげて川俣町の支援に取り組みたい」との意気込みを伝えました。
また式典後には、近畿大学東日本大震災復興支援室室長・原子力研究所所長を務める伊藤哲夫より、今後の「オール近大」での支援プロジェクトについて発表されました。

http://www.kindai.ac.jp/topics/assets_c/2013/06/130531%E3%80%80%E5%BE%A9%E8%88%88%E6%94%AF%E6%8F%B4%E5%A7%94%E5%98%B1%E7%8A%B6%E4%BA%A4%E4%BB%98%E5%BC%8F.pdf

●「“オール近大”川俣町復興支援プロジェクト」 今後の支援計画

(1) 農業・産業・町づくり支援 (主管 : 農学部・経営学部・文芸学部・生物理工学部)
少子高齢化のトレンドの中で産業振興を図るためには、将来的に定住する若者が増えることが目標となります。取り掛かりとしては、川俣町の良さを広く知ってもらう仕掛けが必要です。既存のブランド化された農畜産物(川俣シャモ)や文化事業(コスキン・エン・ハポン)を生かしつつ、雇用創出、町の復興、活性化に向けた支援・提案を行います。農産物の生産、商品開発、販売流通、観光開発、町のブランド化とその発信、イモ文化の創造など、各分野での実践を有機的につなげて力強く支えていきます。
1.生花、野菜、腐葉土生産など特産品の開発と農業活性化
2.観光開発の助言
3.サツマイモ栽培によるイモ文化の普及
4.芸術ワークショップを通じた交流 など

(2)除染推進支援 (主管 : 原子力研究所・理工学部・薬学部・工学部・農学部・バイオコークス研究所)
震災後2 年が経過した現在も、一般的にはまだ除染が進んでいないと言われています。除染には次の3つの技術と工程が必要です。(1)表土を除去して生活圏の線量率を低減する。(2)廃棄土壌に含まれる放射性セシウムを回収する。(3)除染廃棄物を安全に効率的に保管する。本学の研究力を集結し、より効率的で環境に優しい除染活動を実現するための研究を本格的に開始します。
1.微生物(シアノバクテリア)による、表土の引きはがし(土壌剥離)
2.環境に負荷をかけない化学薬品(クエン酸アンモニウムなど)の活用
3.電気化学的な方法による、放射性セシウムの土壌からの引き離し(脱着)
4.土壌を粒子の大きさ別に分ける(土壌分級)ことによる、除染廃棄物の減量化
5.汚染された枯葉や木材等をバイオコークス(※)化、体積の減少(有機物減容化)と保管 など

(3)個人被ばく線量評価及び健康・メンタルケア支援 (主管 : 原子力研究所・医学部)
川俣町は、2011 年6 月に町内すべての幼稚園児、小・中学校の生徒へ放射線量測定用のガラスバッジ1700 人分を配布開始し、3 ヶ月間毎の線量が結果として得られています。近畿大学は、町の依頼により線量測定結果を分析し、アドバイスしてきました。放射線による健康不安を緩和するため、継続して支援します。
1.児童の被ばく線量評価及び健康相談支援
2.メンタルケア支援 など

(4)放射線・放射能測定支援 (主管 : 原子力研究所・農学部)
震災後間もなく川俣町を訪問し、線量率の測定や土壌や植物の環境試料採取を行い、そこに含まれる放射性物質の濃度を測定しました。今日に至るまで継続してデータ収集をおこなってきました。科学的データに基づく対策、提言を続けることで、風評被害や目に見えない放射線への不安緩和を支援します。
1.継続的な生活環境の放射線量測定
2.食品、井戸水、土壌等の放射線濃度測定
3.放射能、放射線、原子力に関する相談と講演 など




「“オール近大”川俣町復興支援プロジェクト」

13 学部48 学科を擁する総合大学としての研究力を生かし、近畿大学の総力を挙げて川俣町の早期復興を支援するために立ち上げたプロジェクト。
教員から提案された復興支援策を、(1)「農業・産業・町づくり振興支援」、(2)「除染推進支援」、(3)
「健康・心身ケア支援」、(4)「放射線・放射能測定支援」の4 グループに分け、川俣町民の意見を取り入れつつ、本日平成25 年(2013 年)5 月31 日(金)から本格的に始動開始。


バイオコークスについて

バイオコークスは、近畿大学理工学部の井田民男准教授が開発した新しい固形燃料です。飲料工場から大量に排出・廃棄される「茶かす」をはじめ、ほぼ全ての植物から製造可能で、製鉄・鋳造炉で燃料として使われる石炭コークスの代替となります。石炭コークスの課題である化石燃料依存(=天然資源枯渇)や輸入価格変動のリスクを解決する、まったく新しい国産エネルギーとして注目を集めています。
バイオコークスには、1.原料の100%を活用できる(製造時に新たな廃棄物が出ない=ゼロ・エミッション) 2.石炭コークスよりCO2 排出量を削減できる(植物由来のため排出量はゼロカウント) 3.食糧や飼料を原料として消費せずに済む(ほぼすべての植物由来廃棄物が原料になる)――という利点があります。また、石炭コークスの代替だけでなく、家庭用燃料を含む、さまざまな用途に活用できる可能性が高いとみられています。


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