医学部主任教授の工藤 正俊が「Highly Cited Researchers 2020」に選出 臨床医学部門における唯一の日本人として2年連続受賞の快挙!
近畿大学医学部(大阪府大阪狭山市)内科学教室(消化器内科部門)主任教授の工藤 正俊が、世界的な学術情報サービス企業、クラリベイト・アナリティクス社(Clarivate Analytics)の「高被引用論文著者(Highly Cited Researchers 2020)臨床医学部門」に、2年連続で選出されました。
これは、世界の全論文のなかで引用回数が上位1%に入る研究論文を、複数発表し続けていることを意味します。日本の研究機関に所属する日本人として、2年連続の受賞は初めての快挙であり、また同部門において唯一の日本人の受賞者です。
【本件のポイント】
●医学部主任教授の工藤 正俊が、クラリベイト・アナリティクス社「高被引用論文著者 臨床医学部門」に、受賞者482名中、唯一の日本人として選出
●臨床医学部門において、日本人の2年連続受賞は初となる快挙
●肝がん治療に関する論文引用が多く、世界における肝がん治療を牽引していることを証明
【本件の内容】
「Highly Cited Researchers 2020」とは、クラリベイト・アナリティクス社が運営する論文検索サービス「Web of Science」に収録された33,000以上の学術誌に発表された論文について、発表から1年間の被引用件数を分析したものです。自然科学及び社会科学の21分野に加えて、一人の研究者が複数分野で論文を発表している場合の合計被引用件数を示すクロスフィールドカテゴリーを追加した、合計22分野における論文の被引用件数が世界の上位1%に該当するものを高被引用論文として定義し、平成26年(2014年)から毎年その著者がリストアップされています。
令和2年(2020年)は、22分野で6,167名の研究者がリストアップされ、日本の所属機関からは91名が選出されました。本学からは、医学部主任教授の工藤 正俊が、臨床医学部門で唯一の日本人として2年連続の名誉ある受賞となりました。
【受賞コメント】
高度の最先端医療を行っていると、自ずと現時点での治療法の限界(Unmet needs:解決しなければならない問題点)が見えてきます。それを解決するために前向き臨床試験を組みます。その結果を英文論文として発表することにより、世界中の多くの研究者に引用され標準治療として確立されて、結果的に世界の患者さんの生命予後延長に寄与します。一つ問題点を解決して山の頂上に立つと、次にまた大きな山(Unmet needs)が見えてきます。そしてこの問題点解決のためにまた臨床試験を組みます。その意味で臨床研究に終わりはありません。解決された最新の標準治療は世界の人たちと一緒にガイドラインとして英文で発表します。このような私の論文が昨年の受賞の際に高被引用論文であることが分かりました。2年連続の日本人唯一の受賞は名誉なことではありますが、これは単に結果であり私にとっては一つの通過点に過ぎません。
【プロフィール】
工藤 正俊(Kudo Masatoshi)
近畿大学医学部内科学教室(消化器内科部門)主任教授
専門:消化器内科学
「expertscape」肝細胞がん分野エキスパートランキング世界第1位
※ 令和2年(2020年)10月時点
論文出版数(Publications):1,356
総引用数(Total Times Cited):31,806
※ 令和2年(2020年)11月18日現在
Publon:https://publons.com/researcher/3112744/masatoshi-kudo/metrics/
肝臓がん治療の第一人者として、治療現場に立ちながら、肝動脈化学塞栓療法(TACE)と分子標的薬や免疫チェックポイント阻害剤を組み合わせた新規治療を生み出し、数々の臨床研究を成功に導きました。世界超音波医学会、アジア太平洋肝癌学会、アジア超音波医学会などの理事長をはじめ、国際肝癌学会、日本肝癌研究会および日本肝臓学会などの理事を多数歴任しています。
セカンドオピニオン検討の際に重要視されている世界のエキスパートを調査・分析するサイト「expertscape(https://expertscape.com/)」にて、肝細胞がん分野のエキスパートとして世界第1位、肝臓がん分野では世界第3位にランキング(2020年10月時点)するなど、肝がん治療の新規治療法・標準治療法の確立に尽力し、名実ともに肝癌研究の世界のトップランナーとして牽引しています。また、新型コロナウイルスの第1波時に、医療が逼迫して肝がん治療が制限を受けたことを踏まえ、感染リスク軽減を考慮した「肝がん治療ガイダンス」を第2波に備え早々に発表するなど、その活躍は多岐に渡ります。
【直近の論文紹介(一部)】
論文名:
Kudo M, et al. Treatment of hepatocellular carcinoma during the COVID-19 outbreak:The Working Group report of JAMTT-HCC.
(SpecialReport COVID-19のアウトブレイク時における肝細胞がん治療のガイダンス—日本肝がん分子標的治療研究会ワーキンググループレポート—)
掲載誌:「肝臓」と同・英文誌「Hepatology Research」(IF:3.165@2019)
URL :https://www.med.kindai.ac.jp/nkangan/COVID-19%20Kanzo%2061%20389-398.%202020.pdf
論文名:
Kudo M, et al. Report of the 20th nationwide follow-up survey of primary liver cancer in Japan. Hepatol Res 50:15-46, 2020.
(日本肝癌研究会第20回全国肝癌予後追跡調査報告)
掲載誌:「肝臓」と同・英文誌「Hepatology Research」(IF:3.165@2019)
論文名:
Kudo M, et al. Randomised, multicentre prospective trial of transar terial chemoembolization (TACE) plus sorafenib as compared with TACE alone in patients with hepatocellular carcinoma:TACTICS trial. Gut 69:1492-1501, 2020.
(肝細胞癌における肝動脈塞栓療法・ソラフェニブ併用療法と肝動脈塞栓療法単独の治療効果を比較する多施設共同無作為化比較試験:TACTICS試験)
掲載誌:「Gut」(IF:19.819@2019)
論文名:
Kudo M, et al. Better efficacy of ramucirumab in Japanese patients than in the global population with unresectable hepatocellular carcinoma. Liver Cancer 9:232-244, 2020.
(世界の肝癌患者に比較して日本人肝癌患者の方がラムシルマブは有効である)
掲載誌:「Liver Cancer」(IF:9.720@2019)
論文名:
Kudo M, et al. Ramucirumab after prior sorafenib in patients with advanced hepatocellular carcinoma and elevated alpha-fetoprotein:Japanese subgroup analysis of the REACH-2 trial. J Gastroenterol 55:627-639, 2020.
(REACH-2試験の日本人患者におけるラムシルマブの有効性)
掲載誌:「Journal of Gastroenterology」(IF:6.132@2019)
論文名:
Kudo M, et al. A New Era in Systemic Therapy for Hepatocellular Carcinoma:Atezolizumab plus Bevacizumab Combination Therapy. Liver Cancer 2020;9:119–137
(全身薬物療法の革新的な時代の到来:アテゾリズマブとベバシズマブの併用療法)
掲載誌:「Liver Cancer」(IF:9.720@2019)
【関連リンク】
医学部 医学科 教授 工藤 正俊(クドウ マサトシ)
https://www.kindai.ac.jp/meikan/569-kudou-masatoshi.html