近畿大学理工学部 「経済産業省産業技術環境局長賞」受賞
近畿大学(大阪府東大阪市)理工学総合研究所 客員教授の佐野正典(元理工学部教授)と、理工学部社会環境工学科准教授の東山浩士らの研究グループは、一般社団法人産業環境管理協会が主催する「平成27年度資源循環技術・システム表彰」の「経済産業省産業技術環境局長賞」を受賞しました。本日、平成27年(2015年)10月16日(金)に、東京の機械振興会館にて表彰式が開催されました。
【本件のポイント】
●これまで廃棄されていた使用済み碍子(がいし)のリサイクル技術を確立
●リサイクル後の碍子片や碍子粉を、建設用材料やエクステリア材等に有効利用
●リサイクル過程で出た碍子粉で路面温度低減型舗装を開発、ヒートアイランド現象を抑制
【本件の概要】
受 賞:平成27年度資源循環技術・システム表彰「経済産業省産業技術環境局長賞」
受賞題名:使用済み碍子の有効利用技術の開発
受 賞 者:関西電力(株)環境室(大阪府大阪市北区)、(株)関電L&A(大阪府大阪市北区)、近畿大学理工学部(理工学総合研究所客員教授 佐野正典、理工学部社会環境工学科准教授 東山浩士)
「資源循環技術・システム表彰」は、一般社団法人産業環境管理協会が主催し、経済産業省が後援するもので、廃棄物の発生抑制、使用済み物品の再利用、再生資源の有効利用に寄与する高度な技術等を表彰し、そこから新たなビジネスを創出することを目的としています。近畿大学理工学部は、関西電力、関電L&Aと共同で実施している、「使用済み碍子の有効利用技術の開発」で表彰されました。
碍子とは、電力の安定供給に必要な絶縁体です。近畿大学理工学部らの研究グループは、使用済みとなった碍子のリサイクル技術を確立し、建物の外構などに用いるエクステリア材としての商品化、建設用材料への有効利用、路面温度低減型舗装の開発などを行いました。これまで廃棄されていた使用済み碍子の問題点を解決し、入口から出口までの一貫した流れの中で100%有効利用を図るシステムを構築したことが評価されました。
【受賞理由】
電力関連の絶縁体として使用されている碍子は、非常に硬い磁器材料であり、リサイクル時に破砕した碍子片の先端部は刃物に匹敵するほどに鋭利な形状となります。近畿大学理工学総合研究所客員教授の佐野正典らが開発した回転研磨機によって、この鋭利な碍子片をエクステリア材や建設用材料などの安全な材料にリサイクルできるようになりました。
エクステリア材としては、美観・景観に配慮した園庭などに利用でき、防犯砂利としても有用です。建設用材料としては、モルタルやコンクリートの骨材に使用することによって、強度の確保や塩害に対する抵抗性向上が確認されました。
また、破砕・研磨処理のリサイクル過程において排出・回収される碍子粉の有効利用として、路面温度低減型舗装の開発も行いました。この路面温度低減型舗装は、夏季におけるアスファルト舗装の路面温度(約60℃)を約20℃低減でき、注目すべき新しい舗装として、都市部におけるヒートアイランド現象の抑制効果が期待されています。
以上のように、使用済み碍子のリサイクル技術の確立と新たな用途開発を含めた100%有効利用を達成したことが評価され、本表彰に至りました。
【研究者紹介】
氏 名:佐野 正典(サノ マサノリ)
所 属:近畿大学理工学総合研究所
職 名:客員教授
学 位:工学博士
専 門:道路工学
氏 名:東山 浩士(ヒガシヤマ ヒロシ)
所 属:理工学部 社会環境工学科
職 名:准教授
学 位:博士(工学)
専 門:構造工学、橋梁工学、メインテナンス工学
【関連リンク】
理工学部 社会環境工学科 准教授 東山 浩士
http://www.kindai.ac.jp/meikan/535-higashiyama-hiroshi.html