「病気の家族の体験を語ることはとても勇気がいることでした。体験談が誰かの背中をそっと押してあげられますように」連載:精神障がいのある親を持つ子どもたちより

『精神障がいのある親に育てられ、成長して支援職に就いた子どもたちの語り』の著者が胸の内を語る

新聞連載で体験を語る「こどもぴあ」のメンバー
新聞連載で体験を語る「こどもぴあ」のメンバー

執筆しながら体験を振り返るつらさもあり、決して気軽に書くことができたわけではありませんでした

「精神疾患の親をもつ子どもの会『こどもぴあ』」という団体があるのをご存じですか。しんぶん赤旗の連載『精神障がいのある親をもつ子どもたち』では、「こどもたち」がその思いや体験を語っています。
こどもぴあでは、2018年11月初の著書となる本「静かなる変革者たち 精神障がいのある親に育てられ、成長して支援職に就いた子どもたちの語り」をペンコムより出版しました。
子どものころからずっと、「誰にも言ってはいけない」「相談しても分かってもらえない」と思ってきた病気の家族のこと。
しかし、「こどもぴあ」という仲間を得て、彼らは少しずつ、体験を語り始めました。

孤立からつながりへ

今だからこそ、”あの時は孤独だったなあ、と思います。それは私が孤独ではなくなってから、初めて気づけたことでした。
母の病気が私を孤独にしたわけではなく、病気を通して感じてきた世間の偏見が、より一層孤独を感じさせました。”誰にも言ってはいけない””相談しても分かってもらえない”と。困ったことを相談する先をずっと求めてきました。
20歳で「家族会」に出合って、とても助けにも力にもなりました。
初めて”子どもの立場”の方と出会ったとき、「わかるわかる」という気持ちの連続で、それは多くを話さなくても理解してもらえる不思議な体験でした。
これまで誰にも話せなかったことも話してみようと思えて、話したら受け入れてもらえて「自分だけじゃない」「こんな気持ちをもっていて良かったんだ」と心強くなりました。

(2021年1月8日付け しんぶん赤旗より)

体験を社会へ

精神疾患のある親を持つ子どもの立場である私たちが「自分だけじゃないんだ」と思えたのは、同じ立場の体験を聞き、自らの体験を語ることができたからだと思います。
「こどもぴあ」という大切な場所で何度も何度も子ども時代を振り返り、感情を出しながらも言葉を選んで、時には休みながらも言語化する力を養いました。疾患を抱える親と暮らすことのつらさや葛藤、親を大切にしている気持ちや感謝など、自身が抱く気持ちを発見しながら仲間と一緒に歩んできました。

2019年11月11日に『静かになる変革者たち』という本を出版しました

2019年11月11日に『静かになる変革者たち』という本を出版。私を含めた4人の仲間と、私たちを支えてくれている先生お二人と一緒に書きました。体験を文字にすることの難しさや、執筆しながら体験を振り返るつらさもあり、決して気軽に書くことができたわけではありませんが、私たちが仲間と一緒に養ってきた力を発揮する貴重な機会でした。

(2021年1月15日付け しんぶん赤旗より)

体験を語るということは

同じような「子どもの立場」の仲間に、彼らはこう呼びかけています。

・私たちは、仲間のことを「こどもなかま」と呼んでいます。集まり、語り合うことを大切にして出会いと体験を共有し、”ひとりじゃない”と一人でも多くの「こどもなかま」へ伝えたいと思っています。
・私たちの体験談が、誰かの背中をそっと押してあげられますように。

この本を書いた著者の皆さん

精神疾患の親をもつ子どもの会(こどもぴあ)
精神疾患のある親に育てられた子どもの立場の人と支援者で運営しているピアサポートグループ。2018年1月設立。つどい(ピアミーティング)と家族学習会を中心に活動し、その取り組みは、東京、大阪、札幌、福岡へと広がっている。つどいは、誰にも悩みを言えずに孤立しつら い状況にある子どもたちがひとりでも多く仲間とつながり、孤立から解放され ることを願い開催されている。
https://kodomoftf.amebaownd.com

横山恵子
埼玉県立大学保健医療福祉学部看護学科・大学院保健医療福祉学研究科/教授/看護師。埼玉県立衛生短期大学第一看護科卒業。埼玉県立がんセンター、埼玉県立北高等看護学院、埼玉県立精神保健総合センター(現、県立精神医療センター)準備室を経て、看護師長として勤務。急性期病棟にて精神科看護を経験。その後、埼玉県立大学短期大学部看護学科講師、埼玉県立大学准教授から現職。その間、日本社会事業大学社会福祉学研究科博士前期課程、東京女子医科大学大学院看護学研究科博士後期課程修了。主な研究テーマは、精神障がい者の家族支援・家族会活動・アウトリーチサース・看護師のキャリア支援

蔭山正子
大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻公衆衛生看護学教室/准教授/保健師。大阪大学医療技術短期大学部看護学科、大阪府立公衆衛生専門学校を卒業。病院看護師を経験した後、東京大学医学部健康科学・看護学科3年次編入学。同大学大学院地域看護学分野で修士課程と博士課程を修了。保健所精神保健担当(児童相談所兼務あり)・保健センターで保健師としての勤務、東京大学大学院地域看護学分野助教などを経て現職。主な研究テーマは、精神障がい者の家族支援・育児支援、保健師の支援技術

出版社ペンコム

兵庫県明石市の出版社ペンコムは、インプレスのパートナー出版社。本や広報紙、ウェブなど「ペン」をツールに、まちやひとを応援する会社です。 著者さんと共に、一人でも多くの人に「ああ、この本に出会えて良かった」と感じてもらえるような1冊を送り出していきたいと考えています。

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