水産エコラベル認証の養殖魚を近畿大学水産研究所店舗で提供 環境に配慮した完全養殖でSDGs達成に貢献
近畿大学(大阪府東大阪市)の養殖魚専門料理店「近大卒の魚と紀州の恵み 近畿大学水産研究所」では、令和元年(2019年)12月2日(月)から、NPO法人持続可能な水産養殖魚のための種苗認証協議会(SCSA)が運用する国際基準の水産エコラベル認証制度「SCSA認証」を取得した近大産養殖魚の提供を開始しました。
この認証は、持続可能で環境に配慮して生産された養殖魚であることを第三者によって公明・公正に証明するもので、SCSA認証を受けた養殖魚が飲食店で提供されるのは日本初となります。
【本件のポイント】
●近畿大学の養殖魚が、持続可能で環境に配慮して生産されていることを国際基準で証明
●認証された養殖魚を養殖魚専門料理店「近畿大学水産研究所」で提供開始
●料理店での提供を通じて消費者に持続可能な養殖の重要性を訴え、SDGs達成に貢献
【水産エコラベルとSCSA認証】
近年、人口増加と経済成長を背景に、水産物需要の拡大と水産資源の枯渇が世界的な問題となっています。水産物供給が食糧確保のための重要なテーマとなる一方で、水産資源の枯渇や環境破壊に向かう生産は絶対に避けなければなりません。そこで、その水産物が資源の持続的な利用、地球環境の保全に配慮して生産されたものであるかどうかを第三者的に審査し、証明するのが「水産エコラベル認証制度」です。水産エコラベルが表示された商品を購入することで、消費者も地球資源の保全にかかわることができます。
NPO法人持続可能な水産養殖のための種苗認証協議会は、国内の水産科学分野の研究者らによって平成29年(2017年)に設立されました。人の手で必要な稚魚を必要な分だけ作る「人工種苗」による養殖が、天然資源への依存度を下げ持続可能な水産業に寄与するとの考えのもと、世界で初めて「人工種苗」の生産工程にフォーカスした水産エコラベル「SCSA認証」を運用しています。
【本件の概要】
近畿大学は、かねてから持続可能な水産業の確立をめざして養殖研究を行っており、養殖魚のトレーサビリティを厳しく管理してきました。平成30年(2018年)2月には、「人工種苗生産」「養殖場」についてSCSA認証を取得し、本学の養殖魚が持続可能で地球環境の保全に配慮して生産されていることが第三者機関によって証明されました。その後も順次、SCSA認証による認定範囲を広げ、本年には「流通」「小売」に関しても認証されています。
これにより、令和元年(2019年)12月2日(月)から養殖魚専門料理店「近大卒の魚と紀州の恵み 近畿大学水産研究所」で、SCSA認証を取得した養殖魚の提供を開始します。
養殖魚専門料理店「近畿大学水産研究所」は、近大の研究成果を社会に還元するとともに、安心安全で美味しい養殖魚の魅力を一般の方にも広く知っていただき、養殖魚全体の価値を向上させることを目的として運営しています。水産エコラベルを明示した養殖魚を料理店で提供することによって、持続可能な養殖の重要性を消費者にも認識していただき、国連サミットで採択されたSDGs(持続可能な開発目標)の達成に貢献します。
【店舗での提供】
対象魚種:クロマグロ、マダイ、シマアジ、カンパチ、ブリ、ブリヒラ、ヒラブリ
提供開始:令和元年(2019年)12月2日(月)
店 舗:養殖魚専門料理店「近大卒の魚と紀州の恵み 近畿大学水産研究所」
大阪店(大阪市北区大深町3-1 グランフロント大阪北館6階)
TEL(06)6485-7103
銀座店(東京都中央区銀座6丁目2番先 東京高速道路山下ビル2階)
TEL(03)6228-5863
【近畿大学の持続可能な養殖への取り組み】
近畿大学水産研究所は、天然資源に依存しない持続可能な養殖をめざし、早くから人工種苗の生産技術開発やその普及に重点を置いて研究に取り組んできました。昭和40年(1965年)には世界初のヒラメの人工ふ化による種苗生産を実現し、その後も18魚種の種苗生産に世界で初めて成功しています。近大マグロに代表される、天然稚魚に依存しない「完全養殖」の研究にも取り組み、これまでに20以上の魚種で成功しています。
また、養殖魚の餌についても研究を進めており、天然の生餌から配合飼料への転換、配合飼料に利用される魚粉の代替タンパクの開発など、「真の完全養殖」をめざして研究しています。今年8月からは、配合飼料のみで養成した近大マグロの出荷を開始しました。