ソフトウエア開発での効率的なウェブ検索方針を明らかに IT人材不足問題について開発効率向上による解決をめざす

近畿大学理工学部(大阪府東大阪市)情報学科准教授 角田 雅照らの研究グループは、ソフトウエア開発における効率的なインターネット検索方針を明らかにしました。ソフトウエア開発時には、常に最新の開発技術の知識を得るためのウェブ検索が必須であり、検索の巧拙が開発効率に影響します。ソフトウエア開発技術者の人員不足が問題となる中で、開発効率を向上させるウェブ検索方針を明示することができれば、全体的な生産力アップのサポートにつながります。
本件に関する論文が、令和3年(2021年)10月29日(金)AM0:00(日本時間)、電子情報通信学会が発行する英文論文誌"IEICE Transactions on Information and Systems, Vol.E105-D No.1"でオンライン公開されました。

【本件のポイント】
●ソフトウエア開発時に、適切なウェブ検索方針を用いることで生産力の向上が見込まれる
●ソフトウエアの開発時間を短縮する可能性がある適切な検索方針を具体的に明らかに
●適切な検索方針により開発効率が向上することで、IT人材不足の解消が期待される

【本件の背景】
近年、ソフトウエア開発の人員不足が指摘されており、いかにしてソフトウエア開発者を確保するかが重要な課題となっています。また、ソフトウエア開発者の生産性は個人により大きく異なり、最大で10倍ほど効率に違いがあるという指摘もあります。ソフトウエア開発では最新の開発技術の知識が必要となりますが、それらの情報の多くはインターネット上に存在するため、ウェブ検索が欠かせません。そのため、検索の巧拙が開発効率に影響します。そこで、適切な検索方針を明らかにし、開発効率の個人差を改善することができれば、ソフトウエア開発全体の生産性向上と業務効率化につながることが期待されます。

【本件の内容】
本研究では、不適切なウェブ検索方針による開発効率の低下に着目し、開発者の検索方針を分析することで、検索効率がソフトウエア開発効率にどのように影響するかを実験しました。
実験では、「修正すべき点のあるプログラム」を4問用意し、情報科学を専攻する20代の大学生10人がウェブ検索を行ったうえで、プログラムの修正にかかる時間を計測しました。例えば、実験で与えたプログラムでは「小数を含んだ計算結果が誤っています(2.0-1.1の結果が0.9となりません)。正しい計算となるようなプログラム方法をウェブ検索で発見してください」という問題を出題しました。
その結果、以下の3項目を検索方針とすると、ソフトウエアの開発時間を短縮できる可能性が示されました。
(1)ウェブ検索の結果は複数のページに分割して示されるが、最初の数ページに期待する結果が含まれていない場合は、次ページ以降も参照することは避けたほうがよい。
(2)ウェブ検索時には多くの単語を用いないほうがよい(例:「Java プログラム 誤差 おかしい」よりも「Java 誤差」のほうが好ましい)。
(3)検索をやり直す場合、以前用いたキーワードは含めず、言い換える方がよい(「Java 計算 おかしい」で検索してうまくいかない場合、「計算」と「おかしい」を言い換えて「Java 小数点 誤差」などにする)。
このことから、適切な検索方針を用いることで効率的に検索ができ、ソフトウエアの開発時間を短縮できる可能性があるといえます。

【今後の課題・展望】
今回の研究結果から、ソフトウエア開発時には、生産性を高め迅速な処理を行うために適切な検索方針を用いることが望まれます。効率的なインターネット検索を行うことで、開発効率を向上させることができれば、全体的な生産力の底上げにつながり、開発者の人員不足解消の一助となることが期待されます。

【論文掲載】
掲載誌:
"IEICE Transactions on Information and Systems, Vol.E105-D No.1"
(発行:電子情報通信学会)(インパクトファクター:0.559)
論文名:
Analyzing Web Search Strategy of Software Developers to Modify Source Codes
(ソフトウエア開発者のソースコード修正時におけるWeb検索戦略の分析)
著 者:
鹿児島工業高等専門学校助教 中才 恵太朗(近畿大学理工学部情報学科 2015年卒)
近畿大学理工学部情報学科准教授 角田 雅照
奈良先端科学技術大学院大学先端科学技術研究科教授 松本 健一

【関連リンク】
理工学部
https://www.kindai.ac.jp/science-engineering/

理工学部 情報学科 准教授 角田 雅照(ツノダ マサテル)
https://www.kindai.ac.jp/meikan/469-tsunoda-masateru.html


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