高速遊泳する「近大マグロ」の尾びれを教材に活用 近大ならではのSDGsな実習で、理工学部生が生体エネルギーを学ぶ

実習で使用する、近大マグロの尾びれ部分
実習で使用する、近大マグロの尾びれ部分

近畿大学理工学部(大阪府東大阪市)エネルギー物質学科では、今年度から3年生対象の科目「エネルギー物質生物学実験」において、「ミトコンドリアDNAの遺伝子多型によるマグロの近縁種の判別」をテーマとした学習を行います。令和6年(2024年)4月16日(火)の実習では、実際に近大マグロの尾びれの肉片を使用し、その遺伝子を観察します。本学水産研究所が完全養殖に成功した貴重な水産資源である近大マグロを、キャンパスを超えた教育の場で活用し、SDGsにも貢献する取り組みです。

【本件のポイント】
●近大マグロの尾びれを、エネルギー物質学科の教材として活用
●マグロの尾びれからDNAを抽出し、生物とエネルギーの結びつきを考える、近畿大学ならではの実習
●貴重な水産資源である近大マグロを教育にも活用し、SDGsにも貢献

【本件の背景】
生活に欠かせない電気やガスなど、生活インフラとして捉えられることが多いエネルギーですが、人の体内に目を向けると、そこでは常に「エネルギーの変換」が起こっています。例えば、人間が食べたものが消化・吸収され、筋肉の動きに利用される現象は、化学エネルギーが運動エネルギーに変換される分かりやすい例です。このような仕組みはさまざまな生物で見られますが、高速遊泳するマグロにおいても同様のエネルギー変換が起こっています。また、生物のエネルギー変換の仕組みと生物がもつ遺伝情報は、密接に関わっていることが知られています。進化によってエネルギー変換の仕組みを洗練させてきた生物から、生体エネルギーと生物の遺伝情報の関わりを学ぶことによって、遺伝子の欠損による疾患の解明をはじめ、これまでにないエネルギー変換機構をもつデバイス等への応用という、工学的なヒントが得られる可能性があります。

【本件の内容】
「ミトコンドリアDNAの遺伝子多型によるマグロの近縁種の判別」をテーマに、近大マグロを題材として、生物がもつ遺伝情報と生体エネルギーの関わり、および遺伝情報を含む物質であるDNAの取り扱いについて学びます。実習では、近畿大学水産研究所(和歌山県白浜町)と株式会社アーマリン近大(同)の協力で提供される近大マグロの尾びれに加え、近縁種であるキハダマグロ、メバチマグロ、ミナミマグロ等の筋肉組織から細胞内のDNAを抽出し、ミトコンドリアDNAに含まれる遺伝子を増幅した後、制限酵素(DNAの配列を認識して、特定の配列を切るはさみの機能をもつ酵素)で切断し、マグロの種類によって遺伝子の切断パターンが異なることを観察します。本実習は、近畿大学ならではのエネルギー教育として、近大マグロを教材に用いることで、生体エネルギーと生物がもつ遺伝情報について、学生の理解と興味関心を引き出すことを目的としています。さらに貴重な水産資源を有効活用することで、SDGsの目標である「9:産業と技術革新の基盤をつくろう」「12:つくる責任つかう責任」「14:海の豊さを守ろう」にも貢献します。

【実施概要】
日時:令和6年(2024年)4月16日(火)13:15~16:30
場所:近畿大学東大阪キャンパス 38号館4階 エネルギー物質実験室
   (大阪府東大阪市小若江3-4-1、近鉄大阪線「長瀬駅」から徒歩約10分)
科目:エネルギー物質生物学実験
対象:近畿大学理工学部エネルギー物質学科の学生 約25人

【担当教員のコメント】
中澤直高(なかざわなおたか)
所属  :近畿大学理工学部 エネルギー物質学科
職位  :講師
学位  :博士(工学)
コメント:生物は、自身がもつ遺伝情報をもとに生体エネルギーを有効活用しています。本実習では、マグロの部位の中でも高速遊泳に必須である尾びれの筋肉を題材に、遺伝情報を含む物質であるDNAの取り扱い(分子生物学的手法)を学びます。本実習を通して生物がもつ情報と生体エネルギーの関わりを知ることで、生命の仕組みを知ることへのワクワクを感じて欲しいと思います。他方、水産学における分子生物学的手法を用いた解析は、未だに発展途上であると言われています。そのため、生体エネルギーおよび分子生物学的手法の素養をもつ人材の育成は、SDGsに関わる水産、食品、環境分野に新たなパラダイムを与える可能性があります。本実習で学んだことを生かして、学生の皆さんが将来持続可能な社会の実現に貢献してくれることを願っています。

【理工学部エネルギー物質学科】
令和4年(2022年)4月に開設。化学、電気電子工学、機械工学、生命科学の4分野を融合した3つの領域からなるカリキュラムを用意し、エネルギーに関する広い視野と高い専門性を身につけることを目標に掲げています。
「次世代インフラエネルギー領域」では、持続可能エネルギーとしての太陽由来エネルギー(核融合、太陽光、熱)や地球由来エネルギー(風力、地熱、核分裂など)、高効率エネルギー変換・貯蔵技術について学びます。「ライフデバイスエネルギー領域」では、生体におけるエネルギー変換・利用や、医療センサ・デバイス等へのエネルギー供給のための微小エネルギーの活用について学びます。「マテリアル創製領域」では、上記2つの領域を支える高機能マテリアルについて学びます。

【関連リンク】
理工学部 エネルギー物質学科 講師 中澤直高(ナカザワナオタカ)
https://www.kindai.ac.jp/meikan/2756-nakazawa-kaotaka.html

理工学部
https://www.kindai.ac.jp/science-engineering/


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