近畿大学が原子炉実験・研修会を実施 運転再開後初となる教員を対象とした原子炉実験研修会

学校法人近畿大学

近畿大学(大阪府東大阪市)は、平成29年(2017年)7月24日(月)から8月22日(火)にかけて、中学・高等学校および高等専門学校教員を対象とした原子炉実験・研修会を実施します。
近畿大学原子炉は、平成29年(2017年)4月12日、3年ぶりに研究・教育利用を再開し、全国の大学の研究者や学生に広く研究・教育の場として利用されています。
この度、運転再開後初となる中学・高等学校および高等専門学校教員の方々を対象とした1泊2日のスケジュールによる研修会を実施し、原子力・放射線に関する科学的知識を提供します。

【本件のポイント】
●近畿大学が、教員を対象に、運転再開後初となる原子炉実験・研修会を実施
●原子力・放射線に関する科学に基づいた知識を提供
●研修会を通じた教育現場への還元に貢献

【本件の概要】
近畿大学原子力研究所は、昭和62年(1987年)より教員向けの「原子炉実験・研修会」を毎年実施してきましたが、運転停止後は、放射線計測実習に内容を限った研修会を実施していました。この度、平成29年(2017年)4月12日の運転再開後初となる、教員を対象とした原子炉実験・研修会を実施します。

■日時:平成29年(2017年)7月24日(月)~8月22日(火)
■会場:近畿大学東大阪キャンパス 原子力研究所
     (大阪府東大阪市小若江3-4-1、近鉄大阪線「長瀬駅」から徒歩約10分)

【詳細スケジュール】
〈授業に活かせる放射線教育研修会〉※関西原子力懇談会 共催
■日 時:平成29年(2017年)7月24日(月)~7月25日(火)
     平成29年(2017年)7月31日(月)~8月1日(火)
     ※両日程は同じ内容
■対象者:中学校理科教員
■内 容:
(1日目)
10:00–10:15 開会挨拶・スケジュール説明
10:15–11:15 【講義】放射線の基礎知識
11:25–11:55 【講義】保安教育
11:55–12:45 昼食
12:45–13:45 【見学】原子炉見学
13:55–14:55 【講義】原子炉の基礎
15:05–16:35 【実習】原子炉運転
16:45–17:45 【実習】中性子ラジオグラフィ
17:45–18:30 自由討論
(2日目)
9 : 30–10:30 【講義】放射線の利用
10:40–12:10 【実習】環境放射線の測定
12:10–13:00 昼食
13:00–14:30 【実習】放射線の性質
14:40–15:40 【講義】放射線の健康影響
15:50–16:50 放射線教育に関する意見交換
16:50–17:20 実験結果まとめ、質疑応答、アンケート記入、修了証授与、閉会挨拶

〈平成29年度 中学・高校教員のための原子炉実験・研修会〉
■日 時:平成29年(2017年)7月28日(金)~7月29日(土)
     平成29年(2017年)8月21日(月)~8月22日(火)
     ※両日程は同じ内容
■対象者:中学・高等学校および高等専門学校教員
■内 容:
(1日目)
12:00–12:15 開講式・オリエンテーション
12:15–12:55 【講義】保安教育
12:55–13:50 【見学】原子炉施設見学
13:50–15:00 【講義】原子炉の基礎
15:00–16:30 【実習】原子炉運転
16:30–17:30 【実習】中性子ラジオグラフィ
17:30–18:30 自由討論
(2日目)
9 : 30–10:40 【講義】放射線の基礎知識
10:40–12:10 【実習】環境放射線の測定
12:10–13:00 昼食
13:00–14:40 【実習】放射線の性質
14:40–15:50 【講義】放射線の利用
15:50–16:50 【講義】放射線の健康影響
16:50–17:20 アンケート記入、閉講式

【本件の背景】
近畿大学原子炉は、平成25年(2013年)12月18日に試験研究用原子炉の新規制基準が施行されたことを受け、平成26年(2014年)2月6日に運転を停止しました。教育・研究利用再開に向けた「原子炉設置変更許可申請」「原子炉施設保安規定変更許可申請」の提出と認可を経て、最終の使用前検査と定期検査を終え、平成29年(2017年)3月17日に合格証が交付され、平成29年(2017年)4月12日に教育・研究利用を再開しました。
「原子炉実習・研修会」は、主に理科教員を対象として昭和62年(1987年)に開始されました。これまでに400回以上開催され、約6,500名の教員が参加しております。研修会の目的は、「原子炉を実際に見て、触れて、運転し、さらに放射線に関する基礎的な実験を体験することによって、原子炉・放射線について科学に基づいた知識と判断力を習得し、実際の教育現場で役立てること」としており、1泊2日プログラムで、原子炉の運転体験を含む、様々な原子炉実験や放射線計測実験を体験することができます。また、平成24年度から約30年ぶりに中学理科に「放射線」が取り入れられたことを受けて、最近は特に放射線に関する実験・講義にも力を入れた内容となっております。
近畿大学原子炉の運転停止中は、放射線計測実習に内容を限った研修会として続けてきましたが、このたびの運転再開によって再び原子炉を活用した研修会を開催できるようになりました。

【近畿大学原子力研究所概要】
近畿大学原子力研究所は、昭和35(1960)年4月1日、原子力に関する研究・教育を目的とする全学共同利用研究所として設立されました。近畿大学原子炉は、同年8月12日に設置が認可され、昭和36(1961)年11月11日に臨界に到達し(熱出力0.1W)、我が国最初の民間原子炉・大学原子炉として運転を開始しました。
その後、昭和49(1974)年10月に熱出力を1Wに増加し、昭和59(1984)年1月には小動物用照射設備、中性子ラジオグラフィ用設備および拡大垂直照射設備が新設されました。近畿大学理工学部の学生実習および大阪大学、神戸大学、名古屋大学、九州大学などの学生の原子炉教育・訓練ならびに広範な分野の原子力研究に利用されています。

原子炉運転実習の様子